2年に1度、神田祭で盛り上がる東京・神田川のほとり。だが、地域住民が密かに楽しみにしているある企業による催し物は、あまり知られていない。 東神田の龍角散ビル。毎年5月、バイオリンやビオラなどの弦楽器はもちろん、フルートなどの管楽器も加わったオーケストラによるクラシックコンサートが開催される。1階にパイプ椅子を並べただけの即席会場だが、演奏は本格的。高齢者を中心に、会場は満席となる。 その観客の前に、この日を待ちわびた男が静かに登場する。 龍角散社長の藤井隆太(57歳)。手には自慢のフルートを持つ。そして、名門音楽大学を卒業した腕前を披露する。 この記事は有料会員登録で続きをご覧いただけます 残り3743文字 / 全文文字