菅直人首相が7月13日に突然、記者会見を求めて「将来的に原発に依存しない社会を目指す」と明言した。この首相発言は、福島第1原発事故に驚愕(きょうがく)している国民の受けを狙ったものに違いない。支持率が10%台まで落ちた首相が、起死回生の策と信じて打ち出したものだろう。しかし、国家の浮沈にかかわるこのような問題を首相が一存で発表すること自体、正気の沙汰ではない。果たして、翌日の閣僚懇談会では閣僚から強く文句をつけられ、首相は「私個人の考え」と釈明したという。 ◆脱原発で日本企業生き残れず 首相の言う「脱原発」に国民は大きく心を動かされたろう。20~30年がかりで原発を廃止に持っていく。その間に風力、太陽光、地熱、石炭・石油火力発電を充実させるといえば、一見可能と錯覚させるが、果たしてそうか。 北欧の風力発電を見学に行ったことがあるが、洋々たる大地が広がり、そこに穏やかな偏西風が常時吹いている