妻と散歩。 ブラブラと歩く。 昼過ぎに家を出て、日が暮れるまで歩く。 本屋があれば僕が何かを買い、古着屋があれば妻が何かを買う。 荷物が生まれる。 僕はいつもカメラをぶら下げるだけで、あとは手ぶら。 妻はなんらかの鞄を持っている。 何かを買えば、妻の鞄は重くなる。 重くなると、「持て」と言ってくる。 「誰々の旦那さんはなんでも持ってくれるんだって」などと一言添えて、鞄を差し出してくる。 僕は断固抗議する。 「男性に対する不当な扱いである」 しかし妻は言う。 「そういうのいいから早く持て」 ここで僕は妻に仰々しくカメラを向けてこう言う。 「荷物持つと写真撮れなくなっちゃうよ」 これにて僕の勝利が決まる。 妻は写真を撮られたい。上手に撮られたい。上手に写真を撮られるためなら、重い荷物を持とうが構わない。 正直に言って、僕の素人写真は荷物を持っていようがいまいが下手くそなことに変わりない。このこ