新宿区大久保一にあるビル七階の一フロアを借り切った高麗博物館が今月、開館十年を迎えた。日本と韓国・北朝鮮の歴史認識の差を埋めようと歩んできた。運営に当たるボランティアらは、韓流ブームで関心が高まったことを喜びつつも、「共生を実現する行動をさらに進めたい」と意気込む。 (鈴木学) 開館のきっかけは、一九九〇年に新聞に載った、日本にある朝鮮文化財の展示館設立などの提言だった。すぐに市民団体が発足したが、実現に十一年を要した。専務理事の原田京子さん(70)は「隣国なのに日本社会に韓国・朝鮮への理解が足りないことが要因だった」と振り返る。 伝えるのは、教科書だけでは学べない日本と朝鮮半島のかかわりの歴史だ。「失われた朝鮮文化遺産」「韓国併合100年と在日韓国・朝鮮人」「焼肉・キムチ大好き-在日の食文化と日本」など硬軟織り交ぜた企画は、スタッフが自費で調査した。現在は、初期の展示を紹介する企画の第三