「ずっと二人三脚でやってきました。いまは、もう、どうしようもないことはどうしようもないんだという心境ですよ」と石田恭介さん(左)と妻の智世子さん=東京都練馬区で、鈴木琢磨撮影 在宅勤務の味けなさは会社の帰り道、ちょっと一杯がかなわなくなったこと、それにも増して古本屋めぐりができなくなったことだ。なにせ毎日新聞東京本社は世界に冠たる古書街、神田神保町のすぐそば、ヒマを見つけてはぶらぶらしていた。そんな「神保町ロス」を埋めるべく散歩がてらに通いだした西武池袋線大泉学園駅そばの「ポラン書房」は、品ぞろえよく、目利きのご主人がいる、わが意を得たりの古本屋だった。過去形にしたのは2月7日をもって閉店するからだ。ネット通販は続くが、絵本から抜け出たような看板に吸い込まれ、本を探す楽しみが失われるのはさみしい。 さぞ悔しいに違いないが、足を運ぶとご主人の石田恭介さん(73)、淡々と本を棚に補充していた。