速水健朗『ラーメンと愛国』(講談社現代新書) なぜ近頃のラーメン屋の店員は作務衣を着るのか(本書では「作務衣系」という造語が使われている)、店内に相田みつを風の手書きの人生訓が飾られるのか問題については、確か『自分探しが止まらない』の頃から著者は言及していたはずで、新刊がラーメンをテーマにしていると知ったとき、今回はその線からの『自分探しが止まらない』の続編的な内容なのかなと予想していた。 しかし、本書はラーメンの普及と変化を通し、グローバリゼーションにおけるローカライズ、日本人にとってのもの作り、そしてナショナリズムまで論じる紛れもない日本文化論である。帯にある「ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み!」は大げさではなく、いささか強引な展開を感じさせるところもあるが、些細な手がかりからぐいぐい引っ張り読ませるところなど『ケータイ小説的。 "再ヤンキー化"時代の少女たち』を思い出させ