白身で上品な味の高級魚として知られるカワハギを養殖し、特産化を目指す取り組みが静岡市で始まった。一年を通して安定した水温を保つ地下海水で育てたカワハギは、肝が大きく絶品。市内の飲食店で提供され、好評を得ている。 清水区三保でヒラメを陸上養殖するカネヘイ養魚場。経営する宮城島重紀さん(51)は二年前、静岡商工会議所からカワハギの陸上養殖を依頼された。「ヒラメの養殖は頭打ち。高級魚のカワハギは流通も少なく、安定して生産できれば面白い」と挑戦を決めた。 商議所は東海大海洋学部と共同で、十年前から陸上養殖の研究を進めてきた。目を付けたのが、海に囲まれた清水区三保半島の地下海水。地下四十~五十メートルに長年たまっていたため水温が一七~二一度と一定に保たれ、空気に触れず酸素が少ないので病気の原因となる細菌がほとんどいない。魚を安定供給するにはうってつけだった。