高田馬場の老舗中華料理店「一番飯店」には、この店を訪れる客がこぞって注文する絶品のキラー・メニューがある。それが「特製上海焼きそば」だ。 その昔、多忙を極めていた天才・手塚治虫が、ひと皿で十分な栄誉と満足感が味わえるようにとお店にリクエストした、欲張りな麺料理である。 馬場は学生の街。「焼きそば1,420円」という価格設定はかなり強気に思えるが、いざテーブルにそれが運ばれてくると、「むしろこれは安すぎるのでは?」と心配になる。たっぷりの麺の上には、海老、アサリ、イカ、袋茸、チンゲン菜……と数えるのも面倒なほどの具材を使用した贅沢餡がかけられ、その餡だけでも見事な一品料理として成立しているからだ。 そこで酒飲みが考えることといえば、ただひとつ。たっぷりすぎる海鮮餡を“ツマミ”に、焦げ目の香ばしい麺を“シメ”に、いったい何杯飲めるのか──。 店主・山本義家さんのご理解を得て、挑戦してきました。