査読者は学術出版のプロセスになくてはならない存在です。皆さんの論文を科学的により強固なものにし、読者に明確に理解され得るものとなるように、査読者は様々なコメントや指示・提案をします。それに応えることは、査読プロセスにおいて非常に重要なステップです。しかしながら、査読者からの提言に必ずしも同意できないこともあるでしょう。 まず初めに申し上げておきたいことは、必ずしも査読者の指示通りにすべてを変更する必要はないということです。査読者によって示唆する変更の重要度が異なるだけではなく、査読者のコメントを考慮しつつも、論文を採用するかしないかを最終的に決定するのはジャーナルエディターであって、査読者自身ではないからです。とは言っても、論文を指示通りに変更しないと決める前に、まず次の問いかけに答えてみることをお勧めします。 1. 査読者は、研究内容が明確に説明されていないということを指摘していますか?
先日、レコーディングエンジニアの森元浩二さんから、「ぜひ、一度試してもらえませんか?」と言われ、AdPower Sonicなるシールをウチのモニタースピーカーに貼ってみました。実際、森元さんが自宅にいらっしゃり、そのシールを貼るというか、バスレフポート(スピーカーの穴)にちょっと入れてもらったところ、明らかに音が良くなった感じがして驚いたのです。これは記事にして紹介してみたいと思う一方、ホントだろうか?何か騙されてないか?と少し自分の耳を疑ってみたりもしました。 そこで森元さんに、「何か客観的なデータってないですか?」と聞いたところ、「いま公的研究機関である産業技術総合研究所で実験・測定を行っているところなので少し待ってほしい」と言われたのです。産総研から客観的な結果が出てくれば、それは間違いなさそうだけど、ホントに違いが分かるのだろうか……と思っていたところ、先日森元さんから「明らかな違
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 岐阜大学の研究チームが開発した「MEcholocation」は、舌打ちの反響音で周囲の障害物を把握する能力を体験できるVR(バーチャルリアリティー)システムだ。舌打ちした音が複数のボールとしてバーチャル内で見え、そのボールの跳ね返りを手掛かりに周囲の机や壁を把握する。実際の部屋を舞台に、舌打ちの反響音を確認しながら暗闇内の障害物を回避して部屋の脱出を目指す。 全盲のダニエル・キッシュさんは、目の代わりに舌打ちの音の反響によって世界を見ているという。これはコウモリやイルカが超音波の反響を用いて自身の位置を把握するエコロケーション(反響定位)に似ている。 舌打ちによる短い音を使い、物体に跳ね返
同志社大学は9月9日、他者の論文を盗用する不正行為があったとして同大学大学院司法研究科の教授を懲戒処分にしたと発表した。問題の教授は「ネット上の学生の文章には、著作権は存在しないと誤解していた」と弁明したという。教授はすでに退職している。 2021年7月21日、同大学に対して「司法研究科の教授が不正行為をした疑いがある」と告発があり、調査を実施。盗用の疑いがあった論文3本に、他人のデータや研究成果などを不適切に使用したことが認められたという。 不正行為が行われた背景について同志社大は「(問題の教授は)学外の業務を多く担当するなど大変多忙な中、急いで論文の校正を行う状況にあり、自己の処理能力を超えて業務を引き受けたことが一因」と説明。また問題の教授は「インターネットに載っている学生執筆の文章などには、著作権は存在しないから自由に利用してよいと誤解していた」としている。 同志社大は、盗用のあっ
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 明治大学宮下研究室の研究チームが発表した「ノッチがポインティングの操作時間に与える影響」は、MacBook Pro(2021)に搭載するノッチがマウス操作に与える影響を検証した論文だ。ノッチによって、マウスの操作時間とエラー率に与える影響を調査した。 MacBook Pro(2021)にはディスプレイの上端中央にノッチ(描画が行われない黒い領域)が配置されている。21年の出来事であり、一部で話題になったことから記憶に残っている人もいるだろう。このノッチ、見た目が目障りなだけでなく、メニューバーを隠したり、マウス操作のカーソルを隠したりして実用的にも邪魔なタイミングが発生する。 そこで今回は
回答 (22件中の1件目) ohhh…No読んでて悲しくなりました。 それは「一般的」ではありません、「男性的に」なのです。 私(女)は若い女性から良い匂いを全く感じません、どちらかといえばその香は不快です。 自分以外の女性の匂いは苦手です。 他の女性はわかりませんが、私にとって良い匂いとは30〜40代の男性の首筋やおでこあたりから出ている匂いです。 風呂上がりのソープまじりの体臭や、Tシャツに染み込んだ匂いなどは私をくつろがせ安心させます。大人の男の匂いは実はフローラル系です。 一方で男性からしたらこの匂いはおそらく快ではないと思われます。 単に性フェロモンの指向性の話か...
東京・霞が関。赤レンガ造りの法務省旧本館を窓外に望む公安調査庁の一室。調査官は「定点観測」していた中国の国立大学のホームページに生じた小さな変化に気づいた。ロボット工学の研究所に所属する研究者として紹介されていた複数の日本人の名前が消えていた。2020年11月半ばのことだ。 この大学は、人民解放軍に近い「国防7校」と呼ばれる大学の一つ。軍民両用ロボットやミサイルなどの研究開発にかかわっていた。研究所のページには、それまで20人近い研究者の氏名や略歴が載っていた。うち半数以上が日本人で、日本の国立大学の現役教授や名誉教授も含まれていた。数日後、サイトから日本人以外の研究者の名前も全て削除された。 調査官は海外情報の分析を担う調査第2部の所属。外国の優れた科学者を呼び込む中国の国策「千人計画」を追跡していた。
セキュリティ関連ニュースを追っていると、ウイルス対策ソフトのメーカーや、セキュリティ対策サービスを手掛ける企業の発表に接することがとても多い。当然ながらそうした発表には、サイバー攻撃の恐ろしさを強調しながら自社の名前を売り、自分たちの製品やサービスの宣伝につなげようとする意図が透けて見える。 そうしたセキュリティ企業の発表のために、サイバー攻撃の脅威に関する実態が歪(ゆが)められて伝わっているのではないか――。スイスとカナダの研究者が、そんな検証を行った結果を学術誌の「Journal of Information Technology & Politics」に発表している。 この論文は、スイス連邦工科大学とカナダ・トロント大学の3人の研究者が発表した。民間のセキュリティ企業の報告内容は多くの場合、国家が関与する非常に高度なサイバー攻撃や、政府機関・大手企業など注目度の高い被害者を狙った攻撃
スマートシティ間や産業分野間のデータやアプリケーションの連携に必要になる「都市OS」のための標準API(アプリケーションプログラミングインタフェース)群の研究を会津大学とアクセンチュアが共同で開始した。研究成果を公開するWebサイトも構築する。2020年7月6日に発表した。 会津大学とアクセンチュアが共同で研究するのは、スマートシティのためのデジタル基盤になる「都市OS」が持つべき標準API(アプリケーションプログラミングインタフェース)。標準APIを介した都市OS間の相互接続により、各地域が取り組むスマートシティや産業分野間のデータやアプリケーション連携が進み、より住民視点に立ったサービスの実現が進むと期待する。 研究では、内閣府が示す「Society 5.0リファレンスアーキテクチャ」に沿いながら、スマートシティのための「機能」と「データ」「データ連携」を対象にする(図1)。 研究成果
西海望 理学研究科 博士課程学生(現・基礎生物学研究所・日本学術振興会特別研究員)、森哲 同准教授は、カエルとヘビが対峙したまま動きを止める現象が、双方の適応的な意思決定によって成り立つことを明らかにしました。 捕食者と被食者が対峙したとき、先手を取った側が有利であると一般的に考えられてきました。しかし、トノサマガエルとシマヘビにおいては、先手で動き始めると相手の対抗手段に対して脆弱になってしまうことが明らかになりました。そして、双方ともに後手に回ろうとした結果、我慢比べのような膠着状態が生じうることが示されました。また、この先手が不利となる状況の成立は両者間の距離に依存しており、トノサマガエルとシマヘビは、距離に応じて先手を取るかどうかを適切に選択していることが明らかになりました。 本研究成果は、捕食者と被食者の戦略に新たな視点を提起するものです。また、恐怖で動けないことの喩えとして用い
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、感染者のせきなどで発生したエアロゾルなどを介して感染が拡大するとされていますが、さらに意外な感染経路が浮かび上がっています。 Can a toilet promote virus transmission? From a fluid dynamics perspective: Physics of Fluids: Vol 32, No 6 https://aip.scitation.org/doi/10.1063/5.0013318 これまで判明している新型コロナウイルスの感染経路は、感染者のくしゃみや咳などで放出された体液の液滴を介した「飛まつ感染」と、皮膚や粘膜、ドアノブや手すりなどを介した「接触感染」に大別されます。さらに、新型コロナウイルスの患者の便からウイルスの粒子が検出されたことなどから、新型コロナウイルスは感染者の糞便に含まれたウ
0.Ars longa, vita brevis 本稿は、査読論文がなかなか書けずにいる人文系の大学院生に向けて書かれている。 日本の人文系の院生は研究職を目指している場合が多く、そのためには業績が必要になる。具体的には、諸学会が発行するジャーナルに学術論文を投稿して、査読と呼ばれる審査過程をクリアし、採用・出版にこぎつけなくてはならない。 わたしはまだ就活を経験していない院生だが、大学による公募要項を見るかぎり、業績は最低3本必要である。だから、博士号の取得を終えた時点で就活に移るとすると、博論のまえに3本の査読論文を書かなくてはならないことになる。……じつは実情はそうではないのだが、とりあえずこの前提で話を進めよう。 ところで以前、私は「文体を作ろう!」というエントリを書いたことがある。そこで紹介したのは、英作文の初級者から中級者に移行するための、そのためだけの、方法論だった。当時の私
論文誌ジャーナル編集委員会では、2013年3月に行われた第75回情報処理学会全国大会にて「論文必勝法 〜基礎から一流誌・会議採録まで〜」という企画セッションを開催しました。 このセッションでは一流論文誌、国際会議への論文採択経験が豊富な一線の研究者をお招きし、産学の若手研究者・学生を主な対象として、研究と論文執筆のための心構え、ケーススタディを含めた実践的アドバイスを話していただきました。また、論文誌ジャーナル/JIP編集編集編集長、各グループ主査によるパネル討論会を設け、若手研究者への論文執筆および論文査読に対するアドバイス、実践的ノウハウについて紹介するとともに、論文査読方針およびその内側について討論しました。 講演者の方々のご厚意により、講演で用いたスライドを公開できることになりました。皆さまの研究、論文の質向上にお役立てください。
本エントリは 社会人学生 Advent Calendar 2019 - Adventar の20日目の記事です。だいぶ過ぎてしまいましたが。 2019年9月に北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)より博士(情報科学)が授与されました。2010年10月に入学したので、9年かけての取得になりました。在学6年間、休学1年間、単位取得退学後2年間という、JAISTの制度上*1の年数をすべて上限まで使い切りました。この博士取得の過程を振り返ってみようと思います。なお、入学時は東京で働いていましたが、途中から石川に引っ越してます。長いので目次作りました。 博士号取得を目指した理由 ふりかえり 入学まで 1年目前半: 2010/10〜2011/03 1年目後半: 2011/04〜09 2年目: 2011/10〜2012/09 3年目: 2012/10〜2013/09 4年目: 2013/10〜2014
絶滅危惧種に指定されている「ヤマトサンショウウオ」の新たな生息地を、岐阜県立岐阜高校の生徒らが独自の方法で発見し、研究成果をまとめた論文が国際科学誌に掲載された。筆頭著者は当時、同校3年だった坂井雄祐さん(19)。高校生が中心となって、調査から実験、執筆した論文が学術誌に掲載されるのは、極めて珍しいという。 坂井さんら自然科学部生物班は2016~17年、様々なデータを分析、編集できる「地理情報システム(GIS)」を使って、県内でヤマトサンショウウオの生息地と似た環境を持つ場所を探した。候補地を5カ所に絞り込み、現地で水を採取し、残されていた生物の痕跡「環境DNA」を分析。17年にヤマトサンショウウオのDNAを検出した場所で卵を見つけた。 こうした手法で希少種の新しい生息地を発見した例は、世界的にもまれだという。当時、受験生の坂井さんは勉強の傍ら、約4カ月かけて英語で論文を執筆。「気分が乗ら
by rawpixel 米や小麦、芋類など世界各地で主食として食べられる炭水化物は、多くの糖質を含む食べ物です。その糖質の摂取を控えるダイエット方法「糖質制限ダイエット」が、近年注目されていますが、これは体に悪い方法であるという研究結果が公表されています。 Low carbohydrate diets are unsafe and should be avoided | EurekAlert! Science News https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/esoc-lcd082318.php Low-Carb Diets Probably Won't Kill You, But That Doesn't Mean They're a Good Idea https://www.livescience.com/63453-low-c
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