根深い亀裂 前回(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53379)、マーク・リラの『難破する精神』を取り上げながら、トランプ以後の社会、いわゆる「ポスト・トゥルース」の社会において、デモクラシーもただの政治システムの一つであることが明らかにされ、デモクラシーそのものの信頼が失墜したりはしないのか、という懸念が生まれつつあることを指摘した。 そのような懸念が必ずしもありえないことではない、という見通しを、トランプ大統領の誕生を後押ししたといわれる〈ホワイト・ワーキング・クラス〉の実態に即して丁寧に記したのが、今回取り上げるジョーン・C・ウィリアムズの『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』である。 ウィリアムズによれば、端的に、エリートが守りたいと思うものが「アメリカの信条」であるとしたら、ホワイト・ワーキング・クラスが守りたいと願う