上田哲行 日本の多くの地域で赤トンボが群れ飛ぶ風景が 失われつつあります。もちろん、田んぼに行けば、 ちらほらと見かけることはできます。 しかし、赤トンボは群れ飛んでいてこそ赤トンボです。 なぜこんなことになったのでしょうか。 急激な減少は2000年頃から 一般に赤トンボといわれているのはアキアカネという種類です。アキアカネは主に水田で幼虫(ヤゴ)時代を過ごします。トンボになって(羽化して)2カ月ほどは高地で過ごしますが、秋に再び平地に下りて来て、田んぼに産卵します(図1)。 図1 アキアカネの1年 図2は私の大学の近くの水田でアキアカネの羽化数を調べた結果ですが、1989年に比べて、ここ数年はずいぶん少なくなっていることがわかります。いつ頃から減り始めたのかを示すデータはありません。ただ、夏の白山山系で調べた結果を見ると1989年と1999年では大きな差はなく、それが2007~09年