岩手県大船渡市の越喜来湾(おきらいわん)にあるホタテ養殖場の海の底に、東日本大震災で被災した複数の漁業用の船が今も沈んでいる。今年で6年経つ被災地の海。昨年末に海底の様子を見た。 岸から約400メートルの沖合。ホタテの養殖ロープが水面からすだれ状にぶら下がる養殖海域で、水深約20メートルまで潜ると、うっすらと濁った砂地の海底に、ほぼ原形をとどめた船が沈んでいた。この船の大きさは長さ約12メートル、幅約3メートル。周囲にはホタテやホヤ、ウニなどがいた。近くをソイやアイナメが泳ぎ、タコの姿も見られるなど「魚礁」のようになっている。 この船を発見した地元の「三陸ボランティアダイバーズ」代表の佐藤寛志さん(42)によると、同湾で操業していた漁船が、震災で行方不明になったものがたくさんあり、湾の海底には、津波で流されたと見られる船や乗用車などが、他にも沈んだまま残っている可能性があるという。養殖用の