暑い。午後2時ごろの炎天下を歩いているうちに、「もう冷やし中華を食べるしかない」と思った。幸い、この店の近くだった。ありがたや、猛暑から避難するように駆け込む。 ラーメン好きのみなさんのあいだでは、よく知られた店。そもそも、ラーメン系とカレーライス以外は、ライス200円、おにぎり120円、いなり寿司(ずし)90円だけという、シンプルなメニューなのだ。 何年か前までは、ミルクとミルクコーヒーもあった。「ミルクホール」は大正から昭和初期のモダン華やかなりしころの「カフェー」のお手軽版といえるか。その時代の貴重な生き残りの建物で、昭和20年の戦後間もなく、「ミルクホール」を始めた。 冷やし中華950円。ザックリ切った、しっかり味の厚切りチャーシューと、錦糸卵というより卵焼きに、細かく刻んだきゅうり、それに柔らかなメンマが、タップリの細い麺の上にのって、食べ応えがある。甘さも酸味も濃いめで、食べる