東の大間に西の壱岐。日本有数のマグロの産地と知られる長崎県壱岐市に、「壱岐市マグロ資源を考える会」を立ち上げたマグロ一本釣り漁師たちがいる。彼らと交流を続けているのがジャーナリストの佐々木ひろこさんだ。激減するまぐろの現状を憂い、現場のレポートを続けている。マグロ漁師たちの声を聞くために今年もまた壱岐へ向かった。 文・撮影・佐々木ひろこ 写真提供・壱岐市マグロ資源を考える会 編集・神吉佳奈子 福岡・博多のフェリーターミナルから高速ジェットフォイルで約1時間。群青色の水面を滑るように走っていた船は、水先に小さな島影を認めてゆっくりと速度を落とし始めた。窓の外に踊る波が、春の日差しを受けてきらきらと輝いている。頭上にはたくさんのカモメが円を描いている。島影は見る間に大きくなって、エンジン音がいっそう低く響いたと思うと、船内アナウンスが甲高い声で入港を告げた。 ここは長崎県・壱岐島。九州の北、朝