毎週金曜夜8時のゴールデンタイムが“プロレス中継”の定位置だった時代のことをおぼえているのは、いちばん若くて40代後半以上、リアルタイムでそれを記憶しているのは50代、60代とそれより上の世代の“昭和のテレビ視聴者”だろう。 いまどきの若者、いまどきのネットユーザー層にとってはあまりピンとこないおはなしかもしれないけれど、その昔、プロレスはテレビのキラー・コンテンツだった。衛星放送(BS、CS)もケーブルも、もちろんインターネットの動画配信もなかった時代の“お茶の間のテレビ”である。 日本のプロレス史が“テレビ中継”とともにスタートしたのは1954年(昭和29年)2月29日。力道山&木村政彦対シャープ兄弟(マイク&ベン)の“プロレスリング国際大試合”をNHKと日本テレビが放映したのがはじまりだった。東京・蔵前国技館で開催された2月29日、30日、31日の3日連続興行のうちの初日をNHKと日