巨大細菌チオマルガリータ・マグニフィカ(Thiomargarita magnifica)がカリブ海のマングローブ林に沈んだ葉の表面で増殖する様子のイラスト。(ILLUSTRATION BY NOÉMIE ERIN) 細菌と聞けば普通、顕微鏡でしか見えないほど小さな生物を思い浮かべるだろう。しかし、肉眼で容易に確認できるほど巨大な細菌が、カリブ海の小アンティル諸島にあるフランス領グアドループのマングローブ林で見つかった。この発見は6月23日付けで学術誌「サイエンス」に発表された。 細菌の長さは最大2センチほどもあり、白い糸状で、汽水に沈んだ腐りかけの葉に付着していた。しかも、驚くべき特徴は大きさだけではない。既知のどの細菌よりも複雑な構造をもつうえ、他の大半の細菌とは違い、DNAを小さな袋に収納しているのだ。
長引くコロナ禍の影響により、国内ではうつの症状を訴える人が、コロナ流行前と比べ2倍以上に増加している。なぜうつ症状が起きるのか、これまでそのメカニズムは正確にはわかっていなかったが、いま解明に向けた研究が進んでいる。その最前線を取材した。 【画像】「シータ波とガンマ波の制御がうまくできない」と佐々木教授 コロナ禍で2倍に急増 うつの原因を脳波から探るコロナ禍で迎える3度目の夏。マスクの着用など少しずつ制限が緩和されているが、街の人たちは…。 街の人: 付き合いが無くなりましたね。社交ダンスとか飲み会とか。友達に会えないとか、そういうストレスはある 街の人: 今は慣れちゃって普通の生活を送っていますが、当初はストレスが溜まって大変でした。ちょっと元気がないというか…そんな感じがした そもそも「うつ病」とは、気分が落ち込んでいるなどの精神症状とともに、眠れない、食欲がないといった身体症状が現れ
こんちくわぶ。製麺好きのライター玉置です。最近、ちょっと思うんですよ。「ちくわぶ」って、一体なんなんだろうと。 ちくわぶといえば竹輪(ちくわ)のように穴が開いた角の多い星形をしている食べ物で、埼玉県出身の私にとってはおでんの具としてよく食べられているという認識です。好きか嫌いかというと、「出されれば食べる」くらいの存在で、好きなおでんの具ランキングでいえば……失礼ながらワースト3に入るかもしれません。 ※この記事を書き上げた頃にはトップ5へと大躍進しました! そんなちくわぶですが、好きな人は絶対に欠かせない存在らしく、「ちくわぶが入っていないおでんはおでんじゃない!」という人が多いのも事実。そこであの白い塊に秘められた謎を、ちくわぶに対しては平熱ですが小麦粉(主に麺)については人並み以上に関心のある私が本気で調べてみました。結論からいうと、材料がシンプルであるがゆえにものすごく沼が深い食べ
以前紹介したスティーブン・クーニン著の「Unsettled」の待望の邦訳が出た。筆者が解説を書いたので、その一部を抜粋して紹介しよう。 スティーブン・クーニンは輝かしい経歴の持ち主で、間違いなく米国を代表する科学者の1人である。世界最高峰のカリフォルニア工科大学で筆頭副学長までつとめた。伝説の研究者団体JASONの会長も務めた。コンピューターモデルによる物理計算の権威でもある。 温暖化対策に熱心な米国民主党のオバマ政権では、エネルギー省の科学次官に任命されていて、気候研究プログラムも担当した。 クーニンに対して、非専門家だとか、政治的な動機による温暖化懐疑派だとかする批判は出来ようが無い。 政治的な動機だけいえば、本書で書いてあるように、むしろクーニンは多くの政策において民主党を支持している。ならば、党派性からいえばむしろ気候危機説を煽るほうになる。 私利私欲だけを考えるなら、クーニンがこ
国内で年間およそ2万トンが流通し、日々の食卓を彩っているなめこの99%が、60年前に福島県喜多方市で採取された野生のなめこの菌に由来することを明らかにしたと、福島大学などの研究チームが発表しました。 なめこは国内では年間およそ2万トンが流通し、このうち99%が菌床栽培で生産されています。 かねてからメーカーなどの間では、菌床栽培に使われる菌は60年前に福島県喜多方市山都町で採取された、F27という野生のなめこの菌を品種改良して全国に広がった可能性が高いと指摘されていました。 福島大学や福島県などの研究チームはこの説を確かめるため、なめこの遺伝的な系統などを解析する方法を開発し、国内で採取されたそれぞれ異なる73の野生のなめこの菌と、菌床栽培で流通している50のなめこの菌を調べました。 その結果、野生の菌では遺伝的な多様性がみられた一方、菌床栽培の菌は1つの系統に分類され、それぞれが遺伝的に
猫はマタタビをかんで蚊よけ効果を高めている――。岩手大などの研究グループがこのほど、そんな研究成果を発表した。これまで猫がマタタビに体をこすりつける動作には蚊が嫌う成分を付着させる効果があるとの報告をまとめていた。今回「これで猫のマタタビ反応の全ての意味を解明できた」としている。 発表によると、マタタビは通常「ネペタラクトール」と呼ばれる蚊よけ効果のある物質を多く出す。ところが、なめたりかんだりすると葉や茎が傷ついて放出が増える他、「マタタビラクトン類」と呼ばれる別の物質の放出が急増。無傷の状態ではネペタラクトールが放出量の9割超を占めたが、傷つくとマタタビラクトン類と半々程度になったという。 この変化によってマタタビが猫を誘引する効果が高まり、体をこすりつけるなどする時間が増加。その結果、ネペタラクトールがより多く付着することにつながっていたと結論づけた。蚊よけ効果を傷の有無で比べると、
私たちはとんでもない勘違いをしていたのかもしれません。 米国のニューヨーク大学(NYU)で行われたマウス実験によって、長年アルツハイマー病の原因と考えられてきたアミロイドベータの蓄積は、真の原因が起こした副次的な結果にすぎない可能性が示されました。 研究ではアミロイドベータが蓄積するより「かなり前」の段階で、既にマウスの脳細胞が麻痺状態にあり、「毒の花」と呼ばれる異常な構造が発生している様子が示されています。 アミロイドベータを排除するように設計された薬がどれも効果を発揮できていないのも、真の原因となる「毒の花」を見過ごしていたいたからだと考えられます。 認知能力を蝕む、美しくも恐ろしい「毒の花」の正体とはいったい何なのでしょうか? 研究内容の詳細は2022年6月2日に『Nature Neuroscience』にて公開されました。
日清食品ホールディングスと新潟薬科大学の高久洋暁教授の研究グループは、油脂酵母が生産する酵母油を使った油揚げ麺の作製に世界で初めて成功した。同研究成果は、3月15日から18日に実施された「日本農芸化学会2022年度大会」で、学術的、社会的にインパクトのある「トピック演題」として発表された。この酵母油は食用代替パーム油として期待できるとしており、今後は工場での生産を想定した製造法の確立と実用化を目指していく。 油脂酵母とは、さまざまな糖を原料とし、菌体内に油脂を生産、蓄積する酵母のことだ。油脂酵母が生産する酵母油は、アブラヤシから採れるパーム油と非常に近い脂肪酸組成を持っている。また、広大な土地を必要とせず、タンク培養で油脂を生産でき、気候の影響も受けずに安定供給することが可能だ。パーム油はインスタントラーメンなど食品の製造に広く使用されていることから、酵母油は食用代替パーム油として期待され
「鳥の言葉」の解読に成功した若手研究者がいる。京都大学白眉センター特定助教の鈴木俊貴さんは、10年かけてシジュウカラの鳴き声を集め、鳥が言葉を話すことを突き詰めた。「僕は、シジュウカラという動物を世界で一番見てるんで」と話す鈴木さんの生態を、フリーライターの川内イオさんが取材した――。 世界で初めて鳥の言葉を解明した男 「今、ヂヂヂヂッて鳴いたでしょ。シジュウカラが集まれって言ってます。向こうに何羽か残ってるから、こっちに来てって呼んでますね」 「今、ヒヒヒって聞こえました? あれはコガラが『タカが来た』と言ってます。それを聞いて、シジュウカラも藪やぶのなかに逃げたでしょ。日本語と英語でダイレクトに会話しているような感じで、ほかの鳥の言葉も理解してるんです」 某日、まだ雪が残る軽井沢の森のなかを、京都大学白眉はくびセンター特定助教の鈴木俊貴とともに歩いた。シジュウカラの研究を通して、世界で
2018年、「coolwulf」と名乗るプログラマーが、アップロードされたX線画像から約90%の精度で乳がんを検出するウェブサイトを無料で公開しました。中国のオンライン開発者フォーラム「V2EX」では開発者に対してさまざまな質問が寄せられましたが、coolwulfは個人的な質問には答えないまま沈黙を続けました。そして2022年、coolwulfはAIで脳腫瘍の正確な位置を検出する「NeuralRad」というプラットフォームを公開。再び表舞台に姿を見せたcoolwulfに対し、中国のニュースサイト・今日頭条がインタビューしています。 这名“业余”程序员,曾用50张1080Ti对抗癌症-今日头条 https://www.toutiao.com/article/7094940100450107935/?wid=1653278073761 This "amateur" programmer fou
ネコ科の動物を終宿主とし人間にも感染することがある寄生虫「トキソプラズマ」に感染した人間は、異性から「性的に魅力がある」と見られる可能性が高いことが明らかになりました。感染に伴い分泌されるホルモンが影響していると考えられています。 Are Toxoplasma-infected subjects more attractive, symmetrical, or healthier than non-infected ones? Evidence from subjective and objective measurements [PeerJ] https://peerj.com/articles/13122/ Mind-Altering Parasite May Make Infected People More Attractive, Study Suggests https://ww
「核融合発電の時代はくるの?」専門家に聞いてみた2022.05.18 22:0051,840 Daniel Kolitz - Gizmodo US [原文] ( satomi ) 今のエネルギーを取り巻く状況が持続可能だと言ってるのは、だまされやすい若者と化石燃料企業の重役ぐらい。 気象変動の危機が表面化するよりずっと前から科学の世界では核融合を代替電力に活かす技術の研究が進められてきました。つまり核が融合するときの放熱で電気を生み出す技術です。 実現はもうすぐそこまで来ていると言われ続けて半世紀。核融合は本当に来るのか? 来るとすればいつなのか? 専門家に聞いてみました! 研究費が増え続けていけば、答えはYESSteffi Diem(ウィスコンシン大学マディソン校工学物理学教授。ペガサスIII実験で革新的な核融合リアクタのスタートアップ技術の開発に専念) 研究費が増え続けていけば、答えは
和田春樹・東京大名誉教授らの声明に疑問を呈する福田充・日本大危機管理学部教授の投稿=2022年4月27日、福田氏のツイッターより ロシア軍とウクライナ軍は即時停戦し、停戦交渉を正式に始めよ――。3月下旬、こうした主張を披露した声明が、ツイッター上で物議を醸した。声明を発表したのは、日本でロシアなどの歴史研究を担ってきた東京大の名誉教授ら14人。反発したのは、現在大学の一線で教壇に立つ若手の研究者たちだ。即時停戦を主張した先達に、若手が猛然と反対の声を上げたのはなぜか。双方に取材すると、正義や人権、戦争の終わらせ方などを巡り、研究者の間に横たわる世代間の溝が浮き彫りになった。【金森崇之】 声明「日本政府は何をなすべきか」が発端 論争の発端となったのは、「ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をすべきか」と題された声明だ。歴史学者でロシア史に詳しい和田春樹東大名誉教授らがホームペ
統合失調症を発症する原因の1つとして、自身の抗体が関わっている可能性があることをマウスを使った実験でつきとめたと東京医科歯科大学のグループが発表しました。 この研究成果は、東京医科歯科大学の塩飽裕紀 助教などのグループが発表しました。 統合失調症は、幻覚や妄想などの症状が出る病気で、およそ100人に1人が発症するとされます。 グループでは、統合失調症の患者220人余りを対象に血液などを詳しく調べたところ、およそ5%の患者に脳の神経細胞のシナプスにある「NCAM1」と呼ばれるたんぱく質に対する抗体が見つかり、この抗体が脳の情報伝達を妨げている可能性があることをつきとめました。 さらに、この抗体をマウスに投与すると脳のシナプスが減少したり、大きな音に過敏に反応したりするなど統合失調症のような症状が出ることを確認したということです。 グループによりますと、統合失調症の発症にはさまざまな仕組みが関
防衛職員が連日のコメンテーターの異様 ロシアのウクライナ侵略の報道で、連日連夜、防衛研究所のスタッフがテレビ番組に登場するのを見て、「ジャーナリズムの一環に食い込んでしまったようで、やりすぎではないか」と、思ってきました。国家・国家機関とメディアは適度の距離を置いた存在でならなければならないのです。 防衛研の存在は知る人は知っていても、私を含め、多くの人々は「そんな研究所があったのか、しかも防衛省の一組織とは」でしょう。防衛省側に「この際、防衛研の名前を売り込みたい」という明確な方針がなければ、国家公務員が専属コメンテーターのように連日、メディアに登場できるはずはありません。 ウクライナ情勢、ロシア包囲網の現状、推移、展望は国民、経済社会の最大の関心事です。防衛研の情報取集活動と分析は不可欠な任務です。日本には大小の研究所があっても、ウクライナ戦争に特化した情報を提供できるところはまずない
教授を務める東大で進めていたネコの腎臓病治療薬の研究に対し、全国から3億円超の寄付が寄せられ話題となった宮崎徹さん(60)が今春、東大を辞めて非営利の一般社団法人「AIM(アイアム)医学研究所」(東京都)を設立、代表に就任した。今年終わりから来年初めにはネコ薬の治験に入り、「5年以内にはヒト薬でも臨床を始めたい」という。日本の最高学府で創薬と実用化を進めるのは、難しいのだろうか。 「東大は大変恵まれた大学で、基礎研究は非常にやりやすい。だが、創薬という結果を早く出すのは難しい、と思ったからです」 独立の理由を宮崎さんはこう話す。研究所には、東大の研究室にいた准教授や研究員ら20人全員がついてきた。寄付金を資本金に、実務面は弁護士や税理士、弁理士などに外部委託。国内の製薬会社と協業に向けた作業を進めている。 開発中のネコ薬は、宮崎さんが発見し23年前に論文発表した、多くの動物の血液中に共通し
ロシアによるウクライナ侵攻が続くまっただ中の2022年4月21日、ロシアは10個の核弾頭を搭載できる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の発射実験に成功したと発表しました。ロシアによる核攻撃は十分起こり得るとの見方も出始めている中、ロシアがもし核戦争を始めた場合は最初の数時間で死傷者が9150万人に達するという2019年のシミュレーション映像が改めて注目を集めています。 PLAN A | Princeton Science & Global Security https://sgs.princeton.edu/the-lab/plan-a New Study on US-Russia nuclear war: 91.5 million casualties in first few hours - ICAN https://www.icanw.org/new_study_on_u
魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端 (ちくま新書) 作者:幸田正典筑摩書房Amazon 本書は最近毎年のように動物行動学会でホンソメワケベラの認知能力(特に鏡像自己認知能力)について驚きの発表を行っている幸田正典の手になる一冊.まさにそれら一連の研究結果がまとめられた書籍になる. 冒頭の「はじめに」において,10年前に「魚が鏡像自己認知できる」ことを発見したが,それは当時常識を逸脱した内容とされ,なかなか受け入れられなかったこと,そして当時はガリレオの心境だったことが述べられている.しかし著者はこれを乗り越えて,追試を含めて次々に驚きの発見を続けていく.本書のその発見と主流への挑戦の物語りになる. 第1章 魚の脳は原始的ではなかった 第1章は物語の前段である,「なぜ『魚などに鏡像自己認知できるはずがない』という『常識』が形成されていたのか」が解説される.それは脊椎動物の脳について
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