日本銀行松江支店(松江市)の内部資料が3月、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」の暴露ウイルスでインターネット上に流出した問題で、資料に「破綻(はたん)懸念先」と実名で記された松江市内の酒店が松江地裁に破産を申し立て、手続き開始が決定された。「風評被害で資金繰りが悪化した」として、日銀側と進めていた補償交渉が進展しないまま経営破綻した。負債総額は1億5000万円。 関係者によると、資料流出後、酒店は卸業者から取引中止や取引量を制限されるなどして、売り上げが減少。一部卸業者からは以前の取引量に戻す条件として、保証金約3000万円を求められるなどし、経営を断念した。 酒店の経営者は、破産手続きをしたことで自宅や土地に抵当権を設定され、アパートを借りる資金もない。経営者は「提訴も視野に入れている」と言う。日銀松江支店の臼井正樹次長は「交渉の内容は話せない。ご迷惑をおかけした企業には申し訳