ミネソタ州西南端ロック郡の小さな町ルバーンでマイク・ビス氏は、穀物貯蔵庫からトウモロコシをポンプで吸い上げる。ビス氏が生産する穀物の約95%は人間や家畜向けではない。圧搾、発酵、蒸留しエタノールに精製後、1000マイル離れたヒューストン郊外まで鉄道輸送され、そこでガソリンと混ぜて自動車燃料になる。1回の製造工程で消費されるトウモロコシは91人分の年間の食をまかなえる量。これで車が走れる時間は21秒だ。 ◆エタノール利用拡大 1930年代はトウモロコシを家庭用暖炉で燃やすのは罪だと考える人が多かった。ルバーンのアンディ・スティーンスマ町長も「当時の人々はトウモロコシとは食べ物であり、世界には常に飢えた人がいると考えていた」と振り返る。だが、自動車燃料として渇望されるようになると、ロック郡のトウモロコシ農家の社会通念も変わった。 今や世界人口68億人のうち、ほぼ10億人が飢餓状態だ。飢餓