WCI社(筆者注:ワーナー・コミュニケーションズ)は八十二年十二月、アタリ社家庭用の急激な業績悪化を示す第四・四半期(十 - 十二月期)の業績予想を発表したことで、その株価が暴落した。米国家庭用市場が急激に後退し始めたのが原因で、ニューヨーク証券取引所で語り継がれることになる、「アタリショック」が起こったのだ。 ―― 『それは「ポン」からはじまった』 (05年)[1] 1982年12月に、アタリの親会社であったワーナー・コミュニケーションズの株価が急落したことは、アメリカの家庭用ゲーム市場崩壊を象徴するエピソードとしてよく知られている。 上に引用した『それは「ポン」からはじまった』のみならず、元々「アタリショック」とはワーナーの株価暴落を指す言葉であったかのように説明している文献も少なくない。(ただし別稿でも述べたが、当時のアメリカで「アタリショック」との言葉が使用されている実例は見出すこ