少し遡るが、書籍の題号の著作物性に関して、興味深い判決が出ている。 題して「時効の管理」事件。 争われた題号は、僅か5文字に過ぎないものであるし、原告側には代理人が付いていない、いわゆる本人訴訟だっただけに、あっさり請求が棄却されても不思議ではなかったのだが、思いのほか裁判所が丁寧に判断をしているのが印象的だ。 大阪地判平成20年5月29日(H19(ワ)第14155号)*1 原告:X 被告:社団法人金融財政事情研究会、株式会社きんざい、Y1〜Y3 本件は、被告らが出版した「時効管理の実務」という書籍の題号が、原告が執筆した書籍「時効の管理」の題号の著作権を侵害しており、同時に、被告による題号の使用が不競法2条1項2号ないし1号の不正行為に該当する、と主張して争われたものである。 「題号」の著作権侵害の争点に関しては、もっぱら「時効の管理」という表現の創作性が争われることになったのであるが、