鈴木みのるの渡米は、ひとつの現象だった。 私がこのブログで伝えたいことのひとつに、プロレスは必ずしも言語を越えない、という実感がある。日本のプロレスは世界で求められていて、だからこそさくらえみはAEWに招聘されたのだという期待は日本語での反応の数々からうかがい知ることはできるものの、必ずしもそれは真実ではなく、だからこそさくらの挑戦を私はスリリングに感じている。日本のプロレスはすごい、その前提を証明するためだけに動いていたらきっと、大事なものを見落としてしまう。それは私の本意ではない。ここで新しいやり方を見つけ、もう一度何者かになることこそ、さくらえみの目指すものだと。それは例外なく、日本のレスラーが誰しもが直面する壁と冒険であるに違いないと。 しかし早速その例外に出会ってしまった。それが、鈴木みのるだった。 シカゴで小島聡と戦った直後のジョン・モクスリーの前に、彼のアイコニックな入場曲『