恐竜の夏だ。 国立科学博物館にて、「恐竜博」が開催される。 これは数年おきに科博が主催するもので、最大のティラノサウルス標本であるスー(2005年)や、史上最大級の肉食恐竜とされるスピノサウルス(2016年)のように、世界的にも知名度が高く、また「初公開」の標本を見せてくれるという点で人気を博してきた。一方で、必ずしも派手ではないけれど、その時点で最新の恐竜学の「サイエンスとしての動向」をバランスよく伝えるように心配りされていることにも定評がある。 今回の「恐竜博2019」も、大いに楽しみである。 「看板」を張る主役級の標本は、まず、デイノケイルス(恐ろしい手、の意味)の全身骨格。長い間、大きな両腕の化石だけが知られており、巨大な3本の大きなカギツメなどから、どんなに恐ろしい恐竜だったろうと多くの人々が妄想を膨らませてきたいわくつきの存在だ。それが、実際のところ、草食のおとなしそうな恐竜だ