国内でこれまで4億回以上接種された新型コロナワクチン。多くの人が接種し、接種後の健康被害を「救済」する国の制度の課題があらわになっている。申請のハードルが高いうえ、審査結果が出るまで時間がかかり、制度が目指す「迅速な救済」とはほど遠い。(野口憲太) 関西に実家がある30代女性は、2021年6月、当時働いていた東京都内の職場で、モデルナ社製の新型コロナウイルスのワクチンを打った。直後に急性のアレルギー反応「アナフィラキシー」で、めまいや呼吸困難の症状が出た。 都内の大学病院に搬送され、入院。急性の症状は収まったが、2日後に退院してからも、自力で歩くのが難しく、強い倦怠(けんたい)感など体の不調も続いた。同年9月に退職。以降、関西の実家で療養を続けている。 接種直後のアナフィラキシー症状と長引く体調不良について、国の「予防接種後健康被害救済制度」を申請することにした。 立ちふさがる申請までのハ