決まったはずの消費税引き上げの実行に懸念が広がる。安倍晋三・自民総裁はデフレ脱却を実施“条件”とする。引き上げは不可避。低所得者対策など論点はほかにある。 「さて、次は増税の延期はできないと、どう気づいてもらうかだ」 自民党大勝の翌日、財務省内にこんな声が漏れた。政権復帰する自民、公明両党は、最大の課題である消費税引き上げの実行に取り組むことになるが、そこに密かな懸念が広がっている。 自民党は政権公約で「デフレ・円高脱却」とともに、「名目3%以上の経済成長」を掲げ、そのために「大型補正予算、新年度予算など切れ目ない経済対策を実行する」と、景気優先の姿勢を示した。安倍晋三・自民党総裁は今秋の自民党総裁選で「(消費税引き上げの)時期を間違うと結果として経済の腰を折る。デフレが続いているなら上げるべきではない」とも述べており、これが「状況によっては引き上げ先送りも」ととらえられ始めているのだ。