◆◆◆ 大平原 『松本清張地図帖』と『清張鉄道1万3500キロ』、それぞれの著者ならびに編集者で、お互いの本について質問をぶつけあいながら、清張先生の小説の世界に、深入りしてみたいと思います。 まずは、『清張鉄道』のここが知りたい! ……ということで、司会の私から赤塚さんに質問です。 『清張鉄道』では「初乗り認定」というのがキーワードになります。どの作品のどの登場人物が、どの路線に初めて乗ったかを赤塚さんがしらみつぶしに調べていくんですが、その認定の仕方が、「疑わしきは断定せず」なんですね。赤塚さんは朝日新聞の記者を定年まで勤めておられますが、そういう経歴からこのスタンスになったのでしょうか。 赤塚隆二さん 赤塚 あまり関係ないと思います(笑)。 ご都合主義めいたところもあって、同じ路線が2度3度出てくる場合、1度めのフォーカスが甘いなと思ったら、認定を控えました。たとえば初期の短篇『湖畔