欧州が説いてきた人道主義といった理念が「二重基準」に揺れている。 「イスラエルの対応は、これが民主主義だと示すだろう」。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長はハマスの攻撃から6日後にイスラエルを訪問。無条件の支持を強烈に世界に印象付けた。ガザへの空爆による市民の大きな被害に触れることはなかった。 ガザの人道危機やイスラエルによる攻撃の激化が深刻化して、欧州首脳らの発言に人道や支援の必要性が強くにじむようにはなった。だが、大事なことが抜けている。首脳らからイスラエルの行為を強く直接いさめる言葉はほぼない。 「イスラエルには国際法と国際人道法に沿った形での自衛をする権利がある」。決まり文句として使われる言葉には、人道危機を止めようとする意思は感じられない。 EUのボレル外交安全保障上級代表は、ウクライナとの比較でアラブ諸国から「EUが二重基準を持っている」と苦言を呈されたことを認めた