中国料理を食べに行って、スープの注文を考えたことのある方はどのくらいおられるでしょうか? 日本のメニューでよく見るものといえば、コーンスープか、西湖牛肉羹(牛肉と卵白のとろみスープ)か。しかし、一般的なメニューにあるものだけでは、中国料理のスープの神髄はまったく伝わらないといっていいでしょう。 中国料理、特に中国南方の沿岸部におけるスープは、単なる味付きの湯ではないのです。 選ばれし食材のエキスをじっくり引き出したものこそスープ。広東省では季節に生じやすい不調を未然に防ぎ、体調を整えるために飲む習慣が根付いており、ハレの日もケの日も、医食同源の観点を最も具現化した料理といえます。 店内に蒸籠が積み上がる、広州市内の蒸しスープ専門店。栄養補給的存在なので、どれも手ごろな金額。食材を入れて器ごと蒸せば、クリアなスープに食材の風味が満ちる。 こうしたスープは例湯(ライトン)と呼ばれます。直訳する