■危機に力発揮する米国人 1月20日のバラク・オバマ米大統領の就任式をアメリカ全体が待ち望み、そして当日は熱狂した。目の前には難題がかつてないほど積み上がっているにもかかわらず、大統領選で勝利が決まったあとのオバマの一挙手一投足を眺めていたアメリカ国民の多くが、自分たちが選んだ大統領はどうやら期待を上回る資質を持ったリーダーなのだと確信し、そのことに高揚していた。 2カ月前の本欄で私は、オバマ大統領について「たくさんの人の善意や行動をそれぞれわずかでも集積すれば、莫大(ばくだい)なインパクトを世の中に与え得る」という「ネットの良き本質」を知悉(ちしつ)した初めての指導者と評した。おそらくこれから多くの日本人が、オバマ大統領のネットを駆使してのオープンなリーダーシップに、驚きのまなざしを向けることになると思う。 やや不謹慎な表現になるが正直に言うと、私は何事もうまくいっている平時のアメリカよ