JPNIC理事長/後藤滋樹 自転車と自動車の大きな違い 最近は、オフィス街で自転車通勤と思われる光景を良く見かける。私も自転車に乗るのが好きで、都内の移動に自転車を使うことがある。自転車には乗る楽しみの他に、部品を交換する面白さがある。自転車の部品はかなりの部分が標準化されていて、ほとんどの部品は共通に使える。これは経済学の教科書でいうモジュール化の好例である。 車、つまり現在の自動車はモジュール化の対極にある。車の部品の中で共通化されているものは少ない。ただし将来の車は電気自動車になり、部品の標準化が進むと予想されている。現在の車でも電気関係の部品の中には各社共通になっているものがある。 ここで問題なのは、現在の日本の技術立国を象徴しているのが自動車産業であるということだ。その自動車がモジュール化されていく将来には、他の国でも自動車が作れるようになる。これは自転車の例を見ると良く分かる。