どんな場所でクラスターが発生するのか? 今回、ロングインタビューに応じた押谷教授は、「感染症に『強い社会』と『弱い社会』がある」と話し始めた。 「どんな場所でクラスターが発生するのか。海外で典型的だったのは、外国人労働者が働き、生活する環境での大規模クラスターの発生です。 例えば、シンガポールの感染者は累計で5万7千人。そのほとんどがバングラデシュなどから来た建設作業員などの外国人労働者です。彼らは狭い部屋にいくつもの二段ベッドが並ぶ、非衛生的な環境の寮に暮らしていました。シンガポール政府は、こうした環境下の労働者の感染については、あえてドミトリーレジデント(寮の住民)という区分で統計を発表しています」 ウイルスが“社会の暗部”を炙り出していく ©文藝春秋 低賃金で国家の成長を支えているにもかかわらず、外国人労働者であるがゆえにあからさまに社会の外側に置かれているというのだ。こうしたことは