「平和条約へ向けて加速的に」と意気込む安倍晋三首相は21日から訪露する。だが実は北方領土問題において、四島をめぐる現代史が国民には知らされていない。 2017年12月30日付北海道新聞に貴重な記事が載った。タイトルは『ソ連四島占領 米が援助』。ロシア史の大御所、和田春樹東大名誉教授が「北方四島を含む旧ソ連軍の対日作戦を米国が軍事援助していたことは、日本国内ではほとんど知られておらず、発見と言える。四島占領はソ連が勝手に行ったのではなく、米ソをリーダーとする連合国の作戦として行われたということを示している」と談話を寄せた記事を以下に引用する。 「1945年8、9月に行われた旧ソ連軍による、北方四島占領作戦に、米国が艦船10隻を貸与していたことを、根室振興局が米国とロシアの専門家による研究成果などを突き合わせ、明らかにした。米国はソ連の対日参戦に備え、大量の艦船の提供だけでなく、ソ連兵の訓練も
日本軍歩兵の一斉射撃(「Wikipedia」より/World Imaging) 今年は1894年(明治27)の日清戦争の開戦から125年目にあたる。正式な宣戦布告は8月1日だが、後述するように、実際には7月下旬から戦争は始まっていた。 日清戦争は近代日本が初めて体験した本格的な戦争であり、歴史的な意味が大きい。ところが、10年後に始まった日露戦争が司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』やそのドラマ化によってよく知られるのに比べると、一般の印象は希薄なようだ。しかし、この戦争こそ、その後の日本の進路を決定づけた戦争にほかならない。 日清戦争の目的はなんだったのか。その伏線は開戦のおよそ20年前にさかのぼる。1875年(明治8)、日本の軍艦、雲揚号が朝鮮の江華島沖で挑発的な行動をして朝鮮側の砲台と交戦する事件(江華島事件)を起こし、これを契機に1876年には日本は軍艦を送って日朝修好条規を結び、朝鮮を
首都圏や九州で地方銀行の統合・再編構想が相次いで明らかになり、東海3県の地銀にも衝撃が広がった。各行首脳は将来的な再編の必要性は認めつつも、再編には慎重だ。九州の各地銀トップの積極的な発言とは一線を画している。それは、トヨタ自動車を頂点とする中部の経済力と、人口減少が進む九州経済の構造的な違いを反映したものともいえる。2014年11月15日付中日新聞記事『地銀再編 中部では?』は、名古屋証券取引所で決算を発表した東海3県の地銀8行の頭取たちの、再編に対するコメントを掲載している。 ・中京銀行(名古屋市)「再編は理にかなっている」 ・十六銀行(岐阜県岐阜市)「常に頭に入れている」 ・三重銀行(三重県四日市市)「選択肢となる可能性はある」 ・百五銀行(三重県津市)「将来的に可能性はある」 ・第三銀行(三重県松阪市)「当然一つの選択肢だ」 ・大垣共立銀行(岐阜県大垣市)「単独で残れるように最善尽
「gettyimages」より ロシアのウクライナ侵攻開始から3カ月が経ったが、このところロシアの通貨ルーブルは絶好調だ。ドルに対して過去4年間、ユーロに対して過去7年間の最高値を記録している。ロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の制裁でルーブルは当初暴落し、過去最安値となっていたが、3月下旬には侵攻以前の水準にまで回復し、足元では侵攻前に比べて約40%のルーブル高となっている。 ルーブルのV字回復に大きく貢献したのはロシアの中央銀行(ロシア中銀)だ。西側諸国に米ドルとユーロの外貨準備が凍結され、為替介入を事実上行うことができなくなったロシア中銀は、投機的なルーブル売りが膨らむのを抑止する目的で政策金利を9.5%から20%へと一気に引き上げた。ロシア中銀はさらにロシア財務省とともに資本規制を導入し、海外貿易の売上高の80%に相当する外貨を強制的にルーブルに両替することを義務付けた。ロシア
ウクライナのゼレンスキー大統領の公式Twitterアカウントより 4月11日にモスクワでプーチン大統領と会談したオーストリアのネハンマー首相が17日放映の米NBCテレビ番組で「プーチン大統領は侵攻を正当化する『独自の戦争論理』に浸っており、ウクライナとの戦争に勝っていると思っている」と述べたことが話題となっている。プーチン大統領が西側諸国の認識と正反対の見解を示したからだ。ウクライナに侵攻したロシアに対する厳しい制裁を科した西柄諸国では「ロシアは国際社会から完全に孤立し、敗北しつつある」との見方が常識化している。だが、西側諸国にとっても「不都合な真実」が明らかになりつつある。 ロシアがウクライナに侵攻してから2カ月が経とうとしているが、新興国のほとんどがロシアの侵攻を支持するか、中立の立場をとっており、西側諸国による「ロシア封じ込め」が国際社会で一向に浸透しないという由々しき事態となってい
ロシア・モスクワのクレムリン(「Wikipedia」より) ウクライナ情勢がかつてないほど緊迫している。メディアでは「ロシアにウクライナ侵略の意図あり」を前提にした論調が大勢を占めているが、「なぜこの時点でロシアがウクライナを侵略しなければならないのか」との理由付けが釈然としない。「『今乗り出さなければウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を止められない』との危機感がロシアにある」との主張が多いが、ウクライナのゼレンスキー大統領は2月17日、「ウクライナは長年にわたりNATO加盟を望んできたが、そのプロセスは進展していない」と述べている。 現在のウクライナ情勢はNATOとの関連で議論されているが、はたしてそうだろうか。ロシアとウクライナの関係が悪化した発端は、2014年にウクライナに親欧米政権が誕生したことにある。「新政権がロシア語話者(親ロシア系住民)を迫害する」との警戒から、親ロ
ジョー・バイデン前副大統領(「gettyimages」より) 目下のアメリカは完全に分裂状態。「一国二国民」だ。 熾烈極まりない大統領選挙が終わって、アメリカの分裂がリアルな現実であることを我々は日々目撃している。世界一の軍事大国でもあるアメリカの統一を修復不能な地点にまで引き裂いている。今後、ジョー・バイデン政権の4年間で問題解決に至る展望はなく、いや、もっと苛烈な衝突が繰り返されるだろう。 この危機的な現実を前に論壇に浮上してきたのは、「アメリカ6分裂」という仮説である。発祥はロシアのアカデミーだ。 もう二十数年前だろうか。筆者は「中国は16に分裂する」と予測して『中国大分裂』(文藝春秋ネスコ)という単行本を上梓した。その後、台湾の李登輝総統(当時)らは「中国は7つに分裂するのが適切だ」と言い出され、この李登輝発言に中国は不快感を覚えたのか、香港の雑誌「亜州週刊」が李登輝総統非難ととも
アフガン戦争(写真:The New York Time/アフロ) 「米国にはアフガニスタンに対する根本的な理解が欠け、何をすべきかわかっていなかった」。息子ブッシュとオバマ両政権でアフガン政策を統括する大統領特別補佐官を務めたダグラス・ルート退役陸軍中将は、米政府の監察官による2015年の聞き取り調査に答え、こう認めた。 米紙ワシントン・ポストは昨年12月9日、アフガンでの米軍の軍事作戦に関し、米軍幹部や米政府高官らが作戦は失敗していることを認識していながら、成果を上げているかのように装う隠蔽工作を長年にわたり展開していたと報じた。同紙が入手した米政府の内部文書で明らかになったものだ。 文書の内容は、政府や軍の高官、外交官ら600人以上から聞き取りした調査をまとめたもの。冒頭のルート退役中将をはじめ、アフガン作戦にかかわった高官らが驚くほどあけすけに本音を語り、これまで米国民と世界を欺いて
平安京創生館にある平安京大内裏復元模型(「wikipedia」より/うぃき野郎) 2020年東京五輪・パラリンピックの開幕まで1年を切った。東京都内では五輪施設の建設が急ピッチで進んでいる。 東京都が新規に整備する競技会場6施設のうち、夢の島公園アーチェリー場など4つがほぼ完成した。日本スポーツ振興センター(JSC)が運営主体となる新国立競技場(オリンピックスタジアム)も、デザイン変更によって工事が大幅にずれ込んだものの、今年11月の完成が目前だ。7月24日に開いた「1年前セレモニー」では、登壇した安倍晋三首相が「準備状況については、IOC(国際オリンピック委員会)からも高い評価をいただいている」と満足そうに語った。 ところが、これらの新施設は大会後、大半が赤字となりそうだ。東京都が新設する6施設のうち、大会後に採算が合うのは1施設のみで、残り5施設は年間計約11億円の赤字が発生する見通し
セブン-イレブンのサンドイッチがインターネット上で話題になっている。きっかけは、12日にツイッター上に投稿されたひとつのツイートだ。 「セブンだけはこんな事しないと思ってたのに……」 そんなつぶやきと共に、2枚の写真も公開されている。1枚目は、トマト、レタス、ハムと、厚焼きタマゴが入ったサンドイッチの写真。2枚目は、パンをはがして中身を出した状態の写真だが、厚焼きタマゴの様子が不自然すぎる形で収められており、その様子が物議を醸しているのだ。 表から見る限りでは、パンいっぱいに厚焼きタマゴが挟んであるかのように思えるが、開いてみるとまるでハリボテのような状況だ。 このツイートは瞬く間に拡散され、実際に同商品を購入して確かめる人も続出。さらに、弁当も上げ底や2重パッケージなどになっている商品があるといった報告も相次いだ。昨今、セブンの弁当やパンなどは、リニューアルするたびにサイズが小さくなった
東京女子医科大学公式サイトより 新型コロナウイルス感染症の拡大に対する対応や、世間の心ない中傷などで疲弊する医療現場。そんななか、東京女子医科大学(東京都新宿区)で看護師職などの夏季賞与がゼロとなったことが波紋を広げている。その結果、同医科大の関連病院の看護師職の約400人が退職意志を示しているというのだ。 400人辞めても「補充すれば良い」 東京女子医科大理事会は経営赤字を理由に、教職員の今年度の夏季一時金をゼロとすることを同大労働組合に通達した。25日、組合は理事会の代理人弁護士と団体交渉を行った。6月29日に発行された同労組の「組合だより」には、この団交での容赦のない経営陣の主張が赤裸々に綴られていた。以下、引用する。 「組合)女子医大より減収額が多い大学でも一時金は出ている。 ●減収と赤字は標念が違う。うちは約30億の赤字だ。その大学はどの程度の赤字ですか?黒字かもしれないでしょ。
「アビガン錠」(写真:ロイター/アフロ) 安倍晋三首相は4月7日の記者会見で、新型コロナウイルスへの効果が期待できる新型インフルエンザ治療薬「アビガン(ファビピラビル)」について、本人の希望や病院の倫理委員会の了承があれば使えるようにする、との考えを表明した。安倍首相はアビガンの副作用について触れながら、本人が希望する場合、「治験ではなく観察研究というかたちで使ってほしい」「120例に投与。病状が改善したと聞いている」と述べた。 アビガンについては副作用に関する指摘も医療関係者の間では多い。アビガンと同成分の薬を患者に投与して有効性を確かめたとする論文が中国の科学誌に掲載されていたが、3日までに取り下げられたことも報じられている。取り下げられたのは、中国の南方科技大学などのチームの論文。 開発元である富士フイルム富山化学は国内の研究を継続しており、軽症者向けの臨床研究を進める藤田医科大学は
『蒙古襲来絵詞前巻、絵七』(「Wikipedia」より/Usiwakamaru) 旧日本海軍が編成した「神風特別攻撃隊」初の攻撃から75年となった2019年10月25日、敵艦への体当たり攻撃などで命を落とした愛媛県内出身の将兵ら約90人の追悼式典が、同県西条市大町の楢本神社であった。遺族や自衛隊関係者ら約250人が黙祷を捧げた。 毎日新聞によると、兄が戦死した曽我部勲さん(89)が遺族を代表して謝辞を述べ、取材に「戦争は一つも利益がない。してはいけない」と語った。 特攻隊「神風」の名は、鎌倉時代中期、蒙古襲来(のちに元寇=げんこう=と呼ばれる)の際に吹いた激しい風にちなむ。モンゴル(蒙古)が文永の役(1274年)、弘安の役(1281年)と2度にわたり来襲した際、その都度、嵐によって敵を退け、勝利したとされる。 その後、国難に際しては神が奇跡を起こして国を守るという「神風思想」が広がり、近代
東日本大震災から、5年。 日本の自動車メーカーは、震災によってサプライチェーンが寸断され、生産停止に陥った。日本の“モノづくり神話”は、崩壊の寸前に追い込まれた。その危機を乗り越え、復活を遂げたわが国の自動車メーカーは、いまや世界の自動車市場で揺るぎない地位を占めている。 たとえば、2015年のルノー・日産アライアンスの世界販売台数は、852万8887台と過去最高を更新した。日産自動車の16年3月期の純利益は、10年ぶりとなる最高益を見込んでいる。 実は、日産は日本の自動車メーカーのなかで唯一、東日本大震災で震源地に近い福島県いわき市の「いわき工場」が壊滅的な被害を受けた。にもかかわらず、どの自動車メーカーよりも早く工場を復旧させた。 日産は、なぜ未曽有の危機「3・11」から復活できたのか。 日産社長兼CEO(最高経営責任者)のカルロス・ゴーンと、同COO(最高執行責任者/当時)の志賀俊之
大手新聞社の人材の劣化は想像以上に深刻だ。 大誤報といえば、最も劣化の進んでいる日本経済新聞の“専売特許”か、と思っていたら、部数トップの読売新聞も10月11日付朝刊で大誤報をやらかした。そして、今回の「週刊朝日」(朝日新聞出版)の緊急連載中止事件である。 週刊朝日(10月26日号)が発売になったのは10月16日、火曜日である。朝刊の広告を見て「おい、おい、これはなんじゃ?」と思った。 右トップの大見出しに「<緊急連載スタート>ハシシタ/佐野眞一」とあり、袖見出しで「救世主か衆愚の王か/渾身の同時進行ノンフィクション/橋下徹本人も知らない本性をあぶり出すため、血脈をたどった!」とまで宣言していたからだ。 「はしもと」と読む名字は、「橋本」か「橋元」が普通である。現大阪市長の橋下徹氏がテレビ番組で活躍するまでは、世間で「橋下」を「はしもと」と読むと知っていた人は少なかったのではないだろうか。
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