東京電力福島第1原発事故が起きる10年以上前、福島沖で巨大地震が発生すれば8メートルの津波で同原発1~4号機が完全に浸水する、とした「津波浸水予測図」を国土庁(現・国土交通省)が作成していたことが分かった。(木村信行) 同事故の国会事故調査委員会で協力調査員を務めたサイエンスライターの添田孝史さん(50)=神戸市須磨区=が内閣府に情報公開請求し、明らかになった。 浸水予測図の作成は1999年。目的について「発生頻度の少ない津波地震(の備え)は、過去の経験だけでは必ずしも十分でない」とし、当時の研究成果を踏まえた最大モデルを想定。「海岸ごとに津波対策を検討するための基礎資料」と位置付けていた。 国は当時、想定を超える津波で200人以上が犠牲になった北海道南西沖地震(93年)を踏まえ、津波対策の指針を検討。7省庁(国土庁、運輸省、建設省など=いずれも当時)は98年、過去の実例と、想定される最大