ドイツ・メルケル政権の連立与党が5月30日、福島第1原発事故を契機にした反原発の国内世論を受け、2022年までに脱原発を実現することで合意した。欧米主要紙には、代替エネルギー確保などに課題を残したメルケル首相の「政治決断」に批判的な論調が目立つ。日本でドイツのような反原発の動きが広がりにくい背景に焦点を当てた報道もあった。 ◇ウォールストリート・ジャーナル(米国)独経済に「壊滅的な結果」 脱原発の方針を決めたドイツだが、同国の原子力事業者などエネルギー業界に困惑を広げている。 米紙ウォールストリート・ジャーナルのパトリック・マックグロアティ記者は1日付のベルリン発記事で、「脱原発が公益企業の反発を引き起こしている」と指摘。世界最大級のエネルギー供給会社の独エーオン社が、「巨額の損失の補償が必要だ」として、ドイツ政府を訴えようとする動きなどを紹介している。