最近「トランスジェンダー」という概念が、一般層にも広がりつつある。 特に「トランス女性」の公共施設利用を巡る議論は政治的イシューとして大きな注目を集め始めており、トランス女性の女子大入学の是非や、「トランス女性」の定義を巡る論争など、各方面で議論が噴出している。 しかし、そもそも「トランスジェンダー」とは一体何なのだろうか。いつこうした概念が生まれ、なぜ権利として尊重されるようになり、どのような経緯を経て今の社会的議論を生むに至ったのだろうか。正直なところ筆者の見る限り、日本において「トランスジェンダー」概念の成立経緯や問題構造を正確に理解している人は極めて少数である。 そこで本稿は知識ゼロの方に向けた「トランスジェンダー入門」として、トランスジェンダーという概念がいかに欧米で形成されていったのかの小史と、特に欧米で盛んに論じられているトランスジェンダーをめぐる論争の基本的な構造について解