【読売新聞】 魚介類に寄生して食中毒をもたらす「アニサキス」を死滅させるため、熊本大が電気エネルギーを使った殺虫方法の研究を進めている。アジでは刺し身の品質を損なわずに感電死させる技術を確立した。併せて対象魚種の拡大や、別の寄生虫へ
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 Twitter: @shiropen2 明治大学の宮下芳明教授がWISS2023で発表した論文「TasteTime Machine : 飲食物を過去や未来の味に変える装置の実現に向けて」は、飲食物の味を過去や未来の味に変化させる手法を提案した研究報告である。この研究では、主に未熟なトマトや作りたてのカレーの味を数日後の味に変えること、また熟れたトマトや一晩置いたカレーの味を以前の味に戻すことが可能かを検証した。 また、この研究の知見をもとに開発した食品の時間を操る味覚AR装置「Taste-Time Traveller」も宮下研究室の研究者らが同時に発表した。
肉食恐竜のティラノサウルスたちは、成長して大型の獲物を仕留めるようになるまで、このゴルゴサウルスの子どものように小型の獲物を狩り、肉厚な部分を選んで食べていたことが、新たな研究で明らかになった。(ILLUSTRATION BY JULIUS CSOTONYI, ROYAL TYRRELL MUSEUM OF PALAEONTOLOGY) ティラノサウルス科ゴルゴサウルスの子どもの化石から発見された胃の内容物を分析したところ、小型の獲物の選りすぐりの部位を食べていたことが明らかになった。噛む力が弱いティラノサウルスの子どもが何を食べていたかは、古生物学者たちにとって長年の謎だった。これはまた、先史時代の北米の食物網を理解するうえで重要な発見だ。論文は2023年12月8日付で学術誌「サイエンス・アドバンシズ」に発表された。(参考記事:「T・レックスのメニュー拝見、ときには共食いも」) 1914
研究者たちは史上初めて昆虫の脳の完全な配線図を作り上げた。イラストは、ショウジョウバエの幼虫の中枢神経系における分化したニューロン(神経細胞)の形と構造を示したもの。(ILLUSTRATION BY MICHAEL WINDING ET AL., 2023) 新型コロナウイルス感染症は2023年も人々の命を奪い続け、全世界の累計死者数は700万人近くに達した。長い後遺症に苦しむ人々も大勢いる。しかし、2023年は悪いニュースばかりではなかった。 このウイルスに対する免疫を獲得した人々の割合が高まったため、世界保健機関(WHO)は5月5日に、新型コロナはもはや「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」ではないと決定した。新しい変異株に対応したワクチンが使われるようになったことで、感染者数、入院者数、死者数が減少した。(参考記事:「コロナワクチンは「年1回のインフルワクチンのよう
科学者たちは今年、気が遠くなるほど波長の長い重力波の検出に初めて成功した。この重力波は、イラストのようにお互いのまわりを回るブラックホールどうしが衝突・合体した後に生じた可能性が高い。(ILLUSTRATION BY MARK GARLICK, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 今年もまた、科学にとってすばらしい年となった。人類の科学研究の最新の成果はどれも興味深く、私たちに新たな謎を投げかけている。『ナショナル ジオグラフィック』が選ぶ、2023年で最も魅力的な大発見の数々をご紹介しよう。 1. 時空を伝わる巨大なさざ波を検出 天文学者たちは初めて、気が遠くなるほど波長の長い重力波を検出した。これらの“宇宙のさざ波”は、数十億光年の彼方で相互に作用し、合体する超大質量ブラックホールからの遠いこだまである可能性が高い。研究者たちは、パルサー(パルス状の電波を発しながら高速回転し
炎症性腸疾患の患者は、腸内にカンジダ・アルビカンスという真菌(画像)が多い傾向があることがわかっている。科学者らは近年、腸のマイクロバイオーム(微生物叢)の真菌が健康に及ぼす影響について、詳しい調査を始めている。(COLORIZED SCANNING ELECTRON MICROSCOPE IMAGE BY MARTIN OEGGERLI / UNIVERSITY HOSPITAL BASEL, SWISS NANOSCIENCE INSTITUTE, BASEL) マイクロバイオームは近年、過敏性腸症候群から神経障害に至るまで、さまざまな病気との関連を示す数多くの研究によって、大きな注目を集めている。マイクロバイオームは微生物叢(そう)ともいい、皮膚、腸、呼吸器、泌尿生殖路などに共生する微生物のまとまりのことだ。 腸内のマイクロバイオームをつくる多様な微生物の中でも、とりわけ高い関心が寄
人間を含めてほとんどの動物が持つ赤い血は、酸素を運ぶためのヘモグロビンに由来しており、こうした色素は呼吸色素と呼ばれています。人間とはまったく異なるメカニズムで体に酸素を取り入れている動物や、そもそも色素を持たず透明な血を持つ動物など、神秘的な血を持つ5種類の動物を、さまざまな事柄の仕組みを解説する情報サイト・HowStuffWorksがまとめました。 5 Animals Whose Blood Isn't Red | HowStuffWorks https://animals.howstuffworks.com/animal-facts/5-animals-whose-blood-isnt-red.htm ◆1:ミドリチトカゲ ギリシャ語で「緑色の血」という意味の名称を持つPrasinohaema属のトカゲは、日本語では「ミドリチトカゲ」と呼ばれており、その名の通りライムグリーンの血を持
ぺんてる(東京都中央区)が、修正ペン「WHITESPEED(ホワイトスピード)」を12月11日に発売する。新形状の幅広ペン先と超速乾インキを搭載し、修正液と修正テープの“良いとこどり”をした商品として展開する。全国の文具取扱店で順次発売し、価格は440円。 新形状をうたうペン先は、ひと塗りで約4.5ミリを修正でき、修正テープのような「テープがよれる」「穴が開く」「うまく切れない」といった問題が生じない。ペンとしてイラスト用途にも使用できる。インキは、2000種類以上の試作を経て、同社従来品と比べて2分の1の速さで乾く超速乾インキを実現。乾くとマットな質感になり、修正面の上からでもはっきりした筆跡で再筆記できるようにした。
ある研究では、高齢のビッグマウス・バッファローは若い個体より免疫系が強かった。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC, PHOTO ARK) 2023年10月20日付で学術誌「Scientific Reports」に発表された最新の研究で、北米の広い範囲に生息するスモールマウス・バッファローフィッシュ(Ictiobus bubalus)とブラック・バッファローフィッシュ(Ictiobus niger)が、100年以上生きることが確認された。 栗色から青系までさまざまな色を持つこの魚は、ほんの数年前まで、20代半ばまでしか生きられないと考えられていた。しかし、2019年の研究で、体重35キログラム近くになることもあるビッグマウス・バッファローフィッシュ(Ictiobus cyprinellus)が112歳まで生きる可能性があると判明し
1日に約7~9時間睡眠を安全に取ることができる人間とは異なり、厳しい自然界で生きるペンギンなどの動物は、数時間眠ることが命取りにつながる場合もあります。リヨン神経科学研究センターのポール・アントワーヌ・リブーレル氏らの研究チームが、ヒゲペンギンが約4秒間の睡眠を1日に約1万回行うことで、合計11時間以上の睡眠時間を稼いでいることを報告しました。 Nesting chinstrap penguins accrue large quantities of sleep through seconds-long microsleeps | Science https://www.science.org/doi/10.1126/science.adh0771 Penguins snatch 11 hours of sleep through seconds-long micronaps https:
京都大学は、カタツムリの一種「エゾマイマイ」が天敵に襲われた際、走って逃げる行動を取ることを示したと発表した。 京都大学は11月21日、カタツムリの一種「エゾマイマイ」が天敵に襲われた際、走って逃げることが分かったと発表した。研究チームが実験したところ、外部刺激によってエゾマイマイの歩行速度が秒速1.05mmから秒速1.27~1.35mmまで速くなった。「“走って逃げる”のは初めての報告になると思われる」(研究チーム)という。 エゾマイマイは主に北海道に生息するカタツムリ。天敵であるオサムシ類に遭遇した際、“殻を振り回して撃退する”という珍しい行動を取る。研究チームは、カタツムリの移動能力を調べるためエゾマイマイと、天敵に遭遇すると殻に引きこもる“内気な種”である「ヒメマイマイ」で比較実験を行った。 天敵からの攻撃を模した外部刺激を与えて比較したところ、エゾマイマイは外部刺激によって移動速
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 Twitter: @shiropen2 米国のハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)に所属する研究者らが発表した論文「Volitional activation of remote place representations with a hippocampal brain-machine interface」は、ラットが“想像力”を持っていることを示す研究結果である。ラットは単に思考するだけで、VR内を移動して目的地に到達したり、目的の場所にオブジェクトを移動させることに成功した。 研究者たちは、ラットの想像力を調査するために、VR(バーチャル・リアリティー)を用いたBMI(
ミネラルを多く含む硬水を噴霧するとカルシウムイオンが減って軟水に近づくことを、岐阜大学教育学部の久保和弘教授(栄養学)と水回り部品を製造する企業TKS(本社岐阜市)のグループが明らかにした。今後数年、硬水を産出する地域が広がる北米の展示会に、霧をつくるノズルのプロトタイプを出品するなどして需要がどこまであるかを探り、実用化の可否を判断したい考えという。 日本の水はほとんどが軟水だが、欧米やアジアでは硬水が多い。洗剤・石けんの泡立ちが悪い、配管内に無機質の垢(あか)がたまって詰まりやすくなる、過剰摂取すると健康リスクが高まるといった不都合がある。このため硬水地域では、アルカリ剤を投入したり膜で濾過したりして軟水に近づけることがある。 久保教授らは以前から、ノズルから噴霧する水に含まれる微細な泡について研究しており、硬水で実験すると白い析出物ができることに気がついた。硬水を加熱して(エネルギー
ガジェット全般、サイエンス、宇宙、音楽、モータースポーツetc... 電気・ネットワーク技術者。実績媒体Engadget日本版, Autoblog日本版, Forbes JAPAN他 ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)のAkos Bogdan氏率いる研究チームは、NASAのチャンドラX線観測衛星とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使った観測から、約132億光年もの彼方に超大質量ブラックホールを発見したと発表しました。 このブラックホールは、地球から約35億光年の位置にある、銀河が密集しているAbell 2744と呼ばれるエリアにある、UHZ1と呼ばれる銀河内に発見されました。しかし実際には、UHZ1はAbell 2744のはるか遠い背後、地球から132億光年も離れた場所にあることが、JWSTのデータから示されています。 この遠い銀河からの光と、超巨大ブラックホー
大人でも苦手な人が多い「統計」。学校の授業や会社のプレゼンなどで、スマートに統計分析の結果を披露できれば尊敬されること間違いなし。ここでは、その基本の考え方を学ぶ。 正確な統計を取るための条件を整理する 本稿では、様々な分野で必要になった統計分析の基礎に関して学ぼう。 信頼できる統計を得るために誰でも思い付くことは、偏りのないデータをなるべく多く集めたほうがよい、ということである。 ここで、AかBどちらを支持するかというアンケートを1千人と1万人を対象に行った結果、1千人調査ではAが528人、Bが472人、1万人調査ではAが5103人、Bが4897人という結果になったとする。 この場合、「1千人調査からはAが53%、1万人調査からはAが51%なので、1千人調査からはAが有利と言えるものの、1万人調査からは微妙であると言えるだろう」と思う人達は意外と多い。 ところが「有意水準5%」という「検
サーモンを捕食するサザンレジデントシャチは絶滅の危機に瀕しているが、たとえ飢えているときでも、彼らは自分たちが殺したイルカを食べようとはしない。(PHOTOGRAPH BY BRIAN SKERRY, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 北太平洋東部の定住型シャチのうち、南部に生息するサザンレジデントシャチが、ネズミイルカ(Phocoena phocoena)やイシイルカ(Phocoenoides dalli)をいじめたり殺したりした78件の事例について、集団、性別、年齢などの特徴に基づいて分類され、9月28日付けで学術誌「Marine Mammal Science」に発表された。 論文の筆頭著者は、米ワシントン州フライデーハーバーに拠点を置く非営利団体「ワイルドオルカ」の科学研究主任を務めるデボラ・ジャイルズ氏だ。北米太平洋沿岸のセイリッシュ海における、1962年から20
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