気どるな、力強くめしをくえ!「大衆食堂の詩人」といわれた、後期高齢ステージ4癌男、エンテツこと遠藤哲夫のブログ。 最新刊の『大衆めし 激動の戦後史』は、「食文化論」や「料理論」に、かなり寄った内容になっている。 これまで、おれの単著の本では、汁かけめしと大衆食堂の二つの系統しかないのだけど、汁かけめしの本は食事と料理を中心に食文化論や料理論寄りであり、江原恵の『庖丁文化論』のブレイクダウン版のつもりで書いている。大衆食堂の本については、料理より食事が中心で、その空間や場所に寄っている。 「作る料理」「食べる料理」のうちは、食文化論や料理論など不要といえるが、70年代以後しだいに「見る・話す・書く料理」が増え、いまやインターネット上でもあふれている。多くの人が、「見る・話す・書く料理」に関わっている。 食通やグルメや評論や研究を気取る前に、食文化や料理について、基本的な「論」ぐらい知っていな
暑い。午後2時ごろの炎天下を歩いているうちに、「もう冷やし中華を食べるしかない」と思った。幸い、この店の近くだった。ありがたや、猛暑から避難するように駆け込む。 ラーメン好きのみなさんのあいだでは、よく知られた店。そもそも、ラーメン系とカレーライス以外は、ライス200円、おにぎり120円、いなり寿司(ずし)90円だけという、シンプルなメニューなのだ。 何年か前までは、ミルクとミルクコーヒーもあった。「ミルクホール」は大正から昭和初期のモダン華やかなりしころの「カフェー」のお手軽版といえるか。その時代の貴重な生き残りの建物で、昭和20年の戦後間もなく、「ミルクホール」を始めた。 冷やし中華950円。ザックリ切った、しっかり味の厚切りチャーシューと、錦糸卵というより卵焼きに、細かく刻んだきゅうり、それに柔らかなメンマが、タップリの細い麺の上にのって、食べ応えがある。甘さも酸味も濃いめで、食べる
2024.12 « 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 » 2024.02 昨日は暑かった。大分県のほうでは真夏日を記録したというニュースがあった。日中は、暑くて眠くてビールが飲みたいのをガマンして仕事をしていたが、あまり片付かなかった。夕方、スーパーへ買い物に出た。歩いているうちに、どうしてもビールが飲みたくなった。どこにしようか迷ったが、ついでに線路沿いも散歩してみたくもあり、それに最近行ってなかったので、コタツへ行った。まだ暖簾が出てない、18時開店早々だった。 のんびりおしゃべりしながら、とりのハムとあじの刺身に、生ビールを2杯飲んで、外に出た。風がさわやかで、心地よい、夕方だった。ちょうど電車が多い時間帯だから、上りが音をたて、東大宮駅にすべりこむところだった。うーん、いいねえ、と思いながら、素早くカメラを取
気どるな、力強くめしをくえ!「大衆食堂の詩人」といわれた、後期高齢ステージ4癌男、エンテツこと遠藤哲夫のブログ。 『dancyu』4月号うどん特集の取材で、以前から気になっていた、うどんと蕎麦の文化の大きな違いについて、ますます気になるばかり。 取材のときも、うどん屋のみなさんは、「うどんは蕎麦と違って、決まりごとなんかないんです、気楽な食べ物なんです」てなことを言った。『dancyu』うどん特集の扉エッセイでも、北尾トロさんが、「蕎麦道、ラーメン道というものはありそうだが、うどんに道は似合わない」「うどんは極めるものではなく、とても日常的な食べ物だ」と書いたりしているのである。 蕎麦は、なんだか神秘的で神々しい、堅苦しい。別の言い方をすれば、もったいぶっている。なんだか、例の伝統的流派の「日本料理」のようでもある。じつに、ペダンチックなリクツと精神によって飾られている。それは、たぶん、「
気どるな、力強くめしをくえ!「大衆食堂の詩人」といわれた、後期高齢ステージ4癌男、エンテツこと遠藤哲夫のブログ。 次の本の書き下ろしの原稿、今月の中間目標として100枚を設定し、今日の段階でどうやら達成できそうな見通しがたった。 70年代からの食文化を、なかでも料理文化の動きを中心に、ふりかえっているのだが、40年ものあいだに、ずいぶん大きな変化があったと、あらためて思う。 そもそも、40年前には、瀬尾幸子さんのような料理家は、メジャーなメディアで活躍する舞台なんかなかった。料理は、ハイソな、じつに観念的な概念(価値観)に支配され、そこに自分がどれだけ近付くかが目的だった。そこからすれば、大衆食なんざ料理じゃなかった。てんぷらも蕎麦もすしもである。 またあらためてわかったことだが、「新鮮」や「鮮度」ってことが、70年ごろから、実態も概念も、大きく変わってきた。いまたいがいの人が「新鮮」や「
震災以後ホットスポットとなった千葉県柏市。「地産地消」の美味しい野菜を食べることができる柏の魅力を取り戻そうと、立ちあがった住民たちがいた。住民、生産者、流通業者、飲食店の四者が話合うことで、自ら安心の規準を決める「『安全・安心の柏産柏消』円卓会議」。話し合いの末、彼らは20ベクレルという「安心の規準」を導き出すことになる。『みんなで決めた「安心」のかたち』の筆者である社会学者の五十嵐氏と、大衆食ライターである遠藤氏が、地域とはなにか? 食育とはなにか? 安全とはなにか? について語りつくす。(構成/山本菜々子) 五十嵐 遠藤さんは「大衆食堂の詩人」なんて言われていますが、食周りでいろいろなお仕事をしてらっしゃる方です。一見雑多なように見えるお仕事で一貫しているのは、「食べることは、本当はもっと社会的なことだよね。」という主張です。 つくる人がいて流通する人がいて、料理する人がいて、食べる
ちょっと肉が薄くて歯ごたえがある。大衆食堂を愛する自由文筆労働者、遠藤哲夫(69)(通称・エンテツ)は、そんなカツ丼が食べたくなったとき、JR大宮駅(さいたま市大宮区)前の大衆酒亭食堂「いづみや本店」にくる。「トンカツ屋さんのカツ丼って肉が厚いんですよ。俺にとってはカツ丼って感じがしない」 カツ丼(600円)や親子丼(560円)といった丼物から、焼きそば(550円)やラーメン(470円)といった麺類、そしてアジフライ定食(650円)や肉豆腐定食(600円)といった定食。何でもそろっている。 店内をてきぱきと歩き回るのは、かっぽう着に三角布をつけたベテラン女性。静止することがない。声を上げればたちどころに反応し、注文をさばいていく。 一番安い焼酎や日本酒は220円。「結局、ここは酒が安いから呑(の)み屋化するんですよ」。そう言いながら遠藤は、日本酒を目いっぱい注(つ)いだコップに犬のように顔
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