日本銀行が現在行っている金融緩和政策からの脱却が議論されるようになった。では、国債の購入を縮小(あるいは停止)し、マイナス金利の付加をやめ、そして長期金利のコントロールを行なわないこととすれば、緩和政策から脱却したことになるのか? 実はそうでなく、さまざまな障害が発生すると予想されるのである。以下では、この問題について検討しよう。 金融緩和終了時の日銀巨額損失 緩和政策からの脱却に当たっては、損失が発生することが予想され、これが障害になるという指摘がなされている。 なぜ損失が発生するのか? 現在、金利は日銀によって抑制されているが、金融緩和政策が終了すれば上昇する。金利と国債市場価格は逆比例の関係があるので、金利上昇は、国債市場価格の下落を意味する。 アメリカをはじめとして諸外国の金利が上昇しているので、日本も金利が上昇する可能性は高い。また、物価との関係でもそうだ。仮に日銀の目標どおりに