元祖ハッカー、竹内郁雄先生による書き下ろし連載の第49回。今回のお題は「いろはかるたをハックする(完)」。 ハッカーは、今際の際(いまわのきわ)に何を思うのか──。ハッカーが、ハッカー人生を振り返って思うことは、これからハッカーに少しでも近づこうとする人にとって、貴重な「道しるべ」になるはずです(これまでの連載一覧)。 文:竹内 郁雄 カバー写真: Goto Aki ● 珍味朦朧 古典的には「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)と言われていた。この漢字をすらすら書ける人はまずいないだろう。私も書けない。「魑魅」(ちみ)は山林の精気から生じるとされる化け物で、「魍魎」(もうりょう)は山川や木石などの自然物の精気から生じるとされる化け物とあるが、どこがどう違うのか、いまいち分かりにくい。分かりにくいから「魑魅魍魎」なのである。 現代のいろはかるたでは、若人も楽しめるように、「魑魅」を「珍味」に変えてい