科学部長 柴田文隆 「立っていたら、そこにボールが飛んできて、私の頭に当たってゴールした。そんな感じです」。今年度のゴールド・メダル贈賞式で、受賞者の一人、京都大講師の高橋和利さん(32)はこう切り出した。 この賞は東京テクノ・フォーラム21(代表=老川祥一読売新聞東京本社代表取締役社長・編集主幹)が優秀な若手研究者に贈るもの。高橋さんの師匠である山中伸弥・京大教授(47)も6年前に受賞している。 高橋さんは、世界に先駆けてiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作った山中さんの右腕と言われる研究者で、とても「ゴール前にただ立っていただけ」などではない。 iPS細胞の作製に欠かせない4個の遺伝子を突き止めるのに貢献し、いずれ共にノーベル賞に輝くのではないかという期待の声もあるほどだ。 贈賞式でお会いするまでは、鋭角的なエリートか、そうでなければ研究にしか関心のない木石なのではないか、と勝手に人物像