「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が十一日に施行された。捜査情報がインターネットに流出した七年前の事件では、イスラム教徒が既に警察に監視されている実態が明らかになった。個人情報をさらされる被害に遭ったイスラム教徒らは、法施行により日常のあらゆる言動が監視対象となるのではないかと懸念する。(大野孝志) 「母国でも日本でも何も悪いことをしていないのに、警察はどうしてあんなことをしたのか」。東京都内に住むアフリカ出身の五十代の男性は、自分が警察の監視対象だったことがいまだに理解できない。 当時ネット上に流出した警察文書には、男性を含むイスラム教徒と家族の名前や住所、電話番号、生年月日のほか、知人への聴取内容、渡航歴、出入りしているモスクなどが記されていた。尾行の結果報告や今後の尾行方針も明記され、警察がイスラム教徒を狙い、本人の知らない間に監視して個人情報を集めている実態が明らかになった。