見渡す限りの情報。見渡す限りのテクノロジー。見渡す限りの他人。 想像を絶する数の選択肢と、想像を超えた速度で推移する世の中。 現在の僕たちが住んでいる世界は、あまりにも情報片と選択肢が多い。 だけど、判断する僕らの脳と情動は、古代人と大して変わっていない。 「情報が多いことは良いことだ」などと呑気に笑っていられる人は幸福な人か、とびきり頭が良い人なんだろう。これだけ他人や社会や自分の利益に関係した情報が増加したにも関わらず、未来は不透明で、自分の立場も不明確で、何を選択するのが適切なのかは分からないというのが娑婆の現況ってもんだ。いや、むしろ中途半端な情報片が増えたことによって、僕たちは「一層わからなくなってきている」。情報を収集すれば色々な事が見えてくると思ったら全然そんな風じゃなく、情報を集めてすぐに分かるのはせいぜい部分部分の拡大像ぐらいなもので、手元には不安げな断片ばかりが届けられ