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ごく個人的な興味だが、デカルトの「方法序説」を読みながら、原点になったスコラ哲学をもう少し理解しておきたい気分がしてきたので、なにか入門書のようなものはないかと「中世哲学への招待(八木雄二)」(参照)を読んでみた。スコラ哲学の基本的な考え方とバリエーションを簡素にまとめた書籍を期待していたので、その点では求めていたものとは違う印象もあったが、これはこれで興味深い本だった。著者は自身のグリーンボランティアの体験談を含め、一般向けにゆったりと雑感を込めて本書を書いている。エッセイ的に読みやすいと言えば読みやすい。が、どちらかというと思想史というより世界史に関心ある人向けではないかとも思った。 「中世哲学への招待」と銘打ってはいるものの、実際にはヨハネス・ドゥンス・スコトゥス(Johannes Duns Scotus)の紹介書と言ってよい。その名前だが、本書ではドゥンスは家系名かとの推測余地も残
黙想の祈り(Contemplative prayer)に関連する本を読み考えながら、ぼんやりと見えてきたものがある。気にかかっているうちにブログにメモしておこうかと思う。思うままに書くのであまりまとまったものにはならないだろうが。 黙想(Contemplation)とは何か? なぜそれがキリスト教において意味があるのか? 疑問の答えとは言えないまでも、いくつか書籍を読みながらぼんやりとした形が見えてきた。逆に言うと、なぜこの疑問がこれまで自分にとって、うまく浮かび上がってこなかったか?としてもよい。それは自分が接したキリスト教からは、そもそも見えづらいものだった。私と限らず近代が結果的に覆い隠してしまった面もある。 私自身を例にすると、接触したキリスト教には三つの面があった。一つは日本の近代化や敗戦に伴うプロテスタンティズムである。この伝統こそ黙想の祈りを覆い隠してしまうことが多い。クエー
Histories of Scientific Observation 作者: Lorraine Daston,Elizabeth Lunbeck出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2011/02/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログを見る Gianna Pomata, "Observation Rising: Birth of an Epistemic Genre, 1500–1650," in Histories of Scientific Observation, ed. Lorraine Daston and Elizabeth Lunbeck (Chicago: University of Chicago Press, 2011), 45–80. 科学史の領域で強い関心を寄せられてきた実験ではなく観察に着
マシュー・スチュアートの『宮廷人と異端者』(書肆心水)を読んだ。スピノザとライプニッツ両哲学に興味がある人にとっては、見逃せない本である。両哲学者の書簡を含むテクストはもちろん、その周辺の人々の資料にも目くばせが行き届いた興味深い一冊。著者は哲学者たちの理論や人間性の解釈にまで立ち入った上で、彼らの複雑な影響関係について独創的な解釈を打ち出している。 1676年11月ライプニッツはハーグにスピノザを訪ねているが、このときの対談は、通常言われているよりも濃密で長時間(少なくとも数日間)にわたるものであったらしい(p−251)。ライプニッツには、既にスピノザの説を受け入れる準備が整っていたのだが、このときの対談を境にして、ライプニッツは次第にスピノザから距離を取り始め、やがてまったく敵対的なものと見なしてゆく。これを著者は、思想史的ドラマとしてのみならず人間ドラマとして描き尽くそうとしている。
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