安藤忠雄と伊東豊雄という日本建築界の現在のトップ2が、国に対して憂うところから、本作は始まる。安藤は東京五輪を例に出して「ヴィジョンがない」と言い、伊東は東日本大震災後の国による近代主義的な対応に「無力感を感じた」と嘆く。 本作は、70年代以降の日本建築現代史の裏側を、約10人の建築関係者へのインタビューを繋ぎ合わせて再構築していくドキュメンタリー映画である。 たとえば1982年に行われたP3会議。すでにアメリカ建築界の巨匠であったフィリップ・ジョンソンとピーター・アイゼンマンによって開かれたこの伝説の建築会議は、30年後の当事者たちのインタビューによって2人の自己顕示欲を示しただけのものであったと暴露される。オランダ出身のレム・コールハウスは、「ぞっとするほど上辺」「皆、フィリップ・ジョンソンに媚びていた」とこき下ろす。そんな中、磯崎新に連れられて参加した当時若手で小住宅くらいしか作って