イグ・ノーベル賞受賞者で発明家として知られる広瀬幸雄・金沢大大学院特任教授(70)が「被災者の役に立ちたい」と27日、発明した消臭機能付き仮設トイレと約10キロ先まで明かりが届く強力なライトを持って岩手県陸前高田市を訪れた。 海から約1キロ離れた同市矢の浦、獺沢両地区は、浄化センターが被災して、いまだに約30戸が仮設トイレを使っている。また、同市は流出した魚の腐臭に悩まされている。 広瀬教授は矢の浦公民館近くに「スチームドライトイレ」を設置。汚物を500度の水蒸気で加熱、乾燥させて臭いを除去するという説明に住民らは「民家に取り付けられるか」「処理時間は」と興味を示した。 実験で男性(72)が使用した後、腐ったサンマ3匹を便槽に放り込んだ。においセンサーで測ると、実験前に12だったトイレ内の臭気レベルは156まで上がった。センサーメーカーによると、家庭用トイレが50、駅のトイレだと140〜2
震災から2カ月が過ぎた被災地で、本を求める人が増えている。被災者の要望で宮城県気仙沼市に登場した「青空書店」には多くの人が詰めかけている。岩手県沿岸の図書館では震災後、新規の利用者登録が急増。写真集や郷土史など震災・津波にまつわる本に関心が集まっている。 「ずっと待っていた。どれを選ぶか迷います」。青空書店初日の16日、津波で全壊した気仙沼市内の自宅から1時間かけて歩いてきた斎藤寿和さん(43)は笑顔を見せた。 本好きで蔵書が1200冊あった。健康関連本と「歴史に残ることだから」と震災特集の写真集を買った。 青空書店は、地元で書店を経営する千田満穂さん(73)が企画した。東京から出版取り次ぎ大手のトーハンが絵本や雑誌、漫画など5千冊を運び、千田さん経営の自動車販売会社の駐車場に並べた。 被災地では多くの書店が壊れ、再開のめどが立っていない店も少なくない。千田さんには「再開して」とい
「佐藤山」の全景。左の岩山の奥に小屋やあずま屋がある。右下が登り口。手前の家の庭にはがれきが流れ込み、家も使えなくなった=宮城県東松島市手作りの避難所を造った佐藤善文さん。登り口には手書きの看板が掲げられていた=28日、宮城県東松島市、吉本美奈子撮影 「津波なんてここまで来るわけがない」。そう言われながら、約10年がかりで岩山に避難所を造った男性がいる。700人以上が死亡した宮城県東松島市で、この場所が約70人の命を救った。 東松島市の野蒜(のびる)地区。立ち並ぶ高さ30メートルほどの岩山の一つに階段が彫られ、登り口に「災害避難所(津波)」と書かれた看板があった。お年寄りでも上れるように段差は低く、手すりもある。平らになった頂上には、8畳の小屋とあずま屋、海を見渡せる展望台が立てられていた。 近くに住む土地の所有者、佐藤善文さん(77)が10年ほど前から、退職金をつぎ込んで1人で造っ
ロート製薬(大阪市)は25日、東日本大震災による震災孤児の支援を目的として「震災復興支援室」を同社内に新設した。会長、社長を含む取締役11人が4月から1年間、報酬の10%を自主返上して活動資金に充てるという。 活動資金は4千万円程度になる見通し。同支援室にはロートの社員5〜7人が専従。社内公募ではすでに10人以上が立候補しており、近く担当者を決める。具体的な支援内容は未定だが、震災孤児の長期的な生活と勉強への支援が主な柱になるという。 同社は、1995年の阪神大震災では本社の建物が一部損傷する被害を受けた。当時も義援金や製品の無償提供など被災地に向けた支援をしたが、「一時的な支援でしかなく、不十分だった」という思いが社内で強かった。広報担当者は「阪神大震災で感じていた教訓を今回は支援室という形で生かしたい。企業として社会的責任を果たすという意味でも、全社あげて取り組んでいく」と話した。
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