路上でのヘイトスピーチに象徴される排外主義の高まりを受け、2013年3月に初めて国会議員有志が主催する院内集会が開かれたのを皮切りに、日本が1995年に加入した国連・人種差別撤廃条約が求める義務でもあり、民族差別、外国人差別に反対する人々の念願でもあった人種差別撤廃法制定への本格的な動きがようやく始まった。2014年には野党議員らによる議員連盟が結成され、与党内でも議論がされるようになり、今年5月、ついに民主、社民および無所属議員らの共同提案で「人種差別撤廃施策推進法案」が参議院に提出された。法案は8月6日に審議入りしたものの審議はストップし、現在、与野4党間協議が重ねられている。今会期中の成立は予断を許さない状況だ。 この間、多くのメディアはこの法案について「ヘイトスピーチ規制」と報じ、「表現の自由か、規制によるその制約か」という二項対立的な問題設定をしてきた。だが、提出された法案は包括