執筆:梅崎修(法政大学キャリアデザイン学部教授) 今回からは、「知的ランダムウォーク」の具体的な方法論を紹介していく。テーマは「本の買い方・並べ方」。知的な刺激を得るには、本を「読むため」だけに買ってはいけない。 読書のコスパ意識 私の研究室を訪ねてくるビジネスパーソンの方々からよく受ける質問に「ここにある本は、ぜんぶ読まれたのですか?」というものがある。たしかに、研究室に詰め込まれた本の物量にはかなりの圧迫感がある(写真①)。 私の場合、関心領域が“無駄”に広く、あれこれ手を出してしまうこと、歴史研究という史料と格闘する学問領域も手がけていることから、研究室も自宅も知らないうちに本だらけになってしまう。 写真① 研究室の書架 さて、先ほどの質問であるが、「もちろん!読んでいない(読めるはずがない……)」とお答えしている。 そう言うと、相手はちょっと困った顔をされる。私は、この困惑は読書も