「子どもの教育」というと、親が自分の経験で語ったり、周りの情報をうのみにして行動してしまったりするもの。そういった「思い込み」を排し、根拠にもとづいた論理的分析で結果を導くために、経済学が活用できます。日経文庫『教育投資の経済学』(佐野晋平著)より抜粋のうえ紹介。今回は、大学進学が得なのかどうかを分析します。 大学・大学院卒の割合は年々上昇 経済学では、教育は人的資本への投資と考えます。人的資本とは、人々が身につける知識やスキルのことで、生産性と関連します。人的資本を高める方法は教育であり、教育は人的資本への投資と考えます。それでは、教育への投資はどのように決まるのでしょうか。 端的に言うと、投資による便益(金銭的なメリット)と投資にかかるコストの比較で決まります。この点を、高校を卒業した後に4年制の大学に進学するか否かを例にした大学進学への投資の決定モデルで考えてみます。 個人の教育水準