『21世紀の資本論』 フランスのパリ・スクール・オブ・エコノミクスの教授トマ・ピケティが書いた『21世紀の資本論』(Piketty 2014)が英語圏で大変な話題になっている。刊行と同時にベストセラーになり、ポール・クルーグマン、『フィナンシャル・タイムズ』紙の名コラムニストであるマーティン・ウルフら著名人がこぞって書評を寄せている。内容に賛否はあれども、議論の構図を変えた力作でありこの問題を論じるには不可欠の著作、というのがクルーグマンの評価だ。他方、否定側の反応も強烈である。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は本書をイデオロギーの産物と断じているし、英『エコノミスト』誌は、分析には学ぶべきところがあるものの、政策提言は社会主義的とする。 フランス語で出版されたときにはほとんど話題にならなかった本が、英訳された途端に大ベストセラーになるのは現代におけるグローバル化と英語のソフトパワー