“辺境の密造酒”スコッチ・ウイスキーが世界を制した訳――「資本主義の酒」の歴史的マーケティング:「伝統とこだわり」をどう確立したのか(1/7 ページ) 日本人は「手作業の暖かみ」を――言い換えれば労働集約的で非効率なものを好むようです。この記事を書いているこの瞬間にも、「印鑑を押すロボット」をデンソーと日立が共同開発していることがニュースになっていました[1]。そもそも印鑑を廃止するという発想は、本邦では歓迎されません。なぜなら、暖かみがないからです。(※果たしてロボットの押した印鑑に暖かみがあるのか……という議論には、ここでは立ち入らないことにしましょう) この日本人の習性に合わせて、酒などの嗜好品のプロモーションでは「手作り感」や「職人のこだわり(=属人性)」が強調されがちです。スコッチ・ウイスキー――日本で高い人気を誇る“ウイスキーの王様”――も例外ではありません。メーカーは各製品の