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ブックマーク / kasasora.hatenablog.com (2)

  • セフレですよ、不倫ですよ、ねえ、最低でしょ - 傘をひらいて、空を

    仕事の都合で別の業種の女性と幾度か会った。弊社の人間が、と彼女は言った。弊社の人間が幾人かマキノさんをお呼びしたいというので、飲み会にいらしてください。 私は出かけていった。私は知らない人にかこまれるのが嫌いではない。知らない人は意味のわからないことをするのでその意味を考えると少し楽しいし、「世の中にはいろいろな人がいる」と思うとなんだか安心する。たいていはその場かぎりだから気も楽だし。 彼らは声と身振りが大きく、話しぶりが流暢で、たいそう親しい者同士みたいな雰囲気を醸し出していた。私を連れてきた女性はあっというまにその場にすっぽりはまりこんだ。私は感心した。彼女は私とふたりのときには同僚たちに対していささかの冷淡さを感じさせる話しかたをしていた。 どちらがほんとうということもあるまい。さっとなじんで、ぱっと出る。そういうことができるのである。人に向ける顔にバリエーションがあるのだ。私は自

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  • 世界の理不尽と暴力に関するいくらかの情報 - 傘をひらいて、空を

    夫が留守にするから泊まりにいらっしゃいという、浮気相手を呼ぶみたいなせりふを受けて、私はその一軒家を訪ねる。彼女は私の友人のなかで二番目に年上で、仕事の都合で知りあって数年になる。なお、いちばん年上の友人は彼女の夫で、今日は「検査入院だよ、なんてったって七十歳だぜ」と言いのこして病院に向かった。私より七つ上なんだから、七十二歳よ、と彼女は修正した。そうそうはだいじょうぶかしら、去年拾ったのよと彼女は言い、好きですと私はこたえる。 彼女はうきうきと缶ビールを取りだす。そんなに年の離れた人と何を話すのと、誰かに訊かれたことがあるけれども、そんなのいくらでもある。私たちはおばさんの初心者(私)とおばあさんの初心者(彼女)であって、だからともに体調や他人からの扱いの変化にさらされながら今後の生活設計について検討している最中であり、小説を読み、美術展に行き、たとえば死だとか愛だとか偏見だとか世界の

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